午後13時からの約45分。
首相自身の過去の経験談を織り交ぜたところに特徴の演説だった。
さて、この約45分間の所信表明演説の間、中継では、毎度のごとく、その演説を聞く側の様子も放映される。
この「きく側」の様子を注目してみていると、いくつかのパターンがある。
特に、大臣席の様子をみていると、下記のような感じだ。
まず、手元資料をずっと精読する人。大臣には所信表明演説の内容が事前に配布されているようだ。その手元資料を舐めるように精読し、中には要所要所をマーカー等で印を付けているパターン。
次にあるのが、どこかのある一点をずっと見ている、もしくは目を閉じ、じっくり聞きいる人。
そして3つ目が、身体全体を話をしている人に向けて、話をしている人に視線を向けている人。
そして、たまに全く異なることをしている人もいるにはいる。
過去の所信表明では、多くが2番目のパターンが多い。
しかし、特に今回は、この3つ目の態度をしている人が印象的だった。
2~3人はいた。
椅子そのものの向きを変えて、首相のほうに身体を向けて聞き入っていた。
そうした態度をしているのは、若年層の方だ。
議員当選回数の多い方は、慣れてしまっているのか、どうも演説を聞こうとしているのかわからない態度の方も多い。
さて、コミュニケーションを取るときに、「きく側」の姿勢というものも非常に重要だ。
話す側に対して、どのような態度で「きく」のか、その態度そのもので、いろんな話を聞き出せるかが変わってくる。つまり、話す側自身が、話をしやすくなるのか、話しにくくなるのかが、「きき手」によって変わる。
マネジメントする側にとって、コミュニケーション不全に落ちいていると感じられている職場で、その多くが「聞く側」に問題があると言っても過言ではない。
「部下からの報告が無い」「現場の問題が顕在化しない」というのは、ほぼ、「きく側」に問題があるのだ。つまり、「情報が集まりにくい雰囲気」を作り出しているのだ。
日本語には、「きく」という言葉には、いくつかの感じが当てはめられる。
「聞く」と「聴く」、そして「訊く」。
- 聞く(hear)…耳に入ってくる
- 聴く(listen)…意識的に物音・内容をきく
- 訊く(ask)…たずねる、問いただす
英語で表してみるとわかりやすい。
多くの職場で見受けられるのが「訊く(ask)」、「聞く(hear)」という感じではなかろうか。
発言者、発話者の本意をきちんと汲み取るためには、「聴く」姿勢が大切だ。
そのためには、意識的に「聴こう」とする行為自身が重要になるのだ。