2010年9月25日土曜日

社員の引き抜き、やりません。。。。

今日のニュースで気になったものを一つ。


米グーグルやアップル「互いの社員引き抜きません協定」 (asahi.com)


アメリカのグーグル、アップル、アドビシステム、ピクサー、インテュイット、そしてインテルの各社が、お互いの技術者を引き抜かない協定を結んでいたというもの。


このニュースを見て、各社の気持ちが分からないではないと、率直に思った。
そして、「アメリカらしくない」とも思ったのだった。

各社は、人材の流出の恐れを考慮し、こうした協定を結んだというものだ。

雇用される側の視点としては、米国司法省が指摘する「より良い職を得る機会を損なわせる」という考えも理解できる。

逆に企業側の視点では、それだけ「人材」が大切であり、重要であるということを意識していることの裏返しでもある。


なかでも、グーグル社やピクサー社には、ユニークな人事制度があることも、いくつか紹介されている。


企業にとって、人材を、「人財」と捉える会社と、「人在」と捉える会社と2分される。

後者の企業は、常にとっかえひっかえ、人材の出入りが激しい、年中採用活動をしているような会社。スタッフを単なる労働力としていない経営スタンスの会社。
このようなスタンスの会社では、もちろん人は育つはずもなく、離職率も高い。
人件費を、「コスト」と捉えている会社だ。

一方の前者の企業は、人材教育にも熱心で、社員の定着率も高い。
定着率が高いと、様々な知恵やノウハウも貯まる。それが強い組織を構築する基盤にも繋がる。


バブル崩壊後、多くの会社で「リストラ」を敢行した。
それにより、大量の人財を失った企業も多い。人の流出とともに、ノウハウも流出して組織が弱体化してしまったのである。その後遺症は、今尚続いている会社も見受けられる。

逆に、経費を抑えつつ、人件費も抑えつつ、何とか雇用は保ちつつ、難局を乗り切ろうとしている企業も一方である。全社を挙げて、一致団結して、知恵を出し合って取り組んでいるのである。


そろそろ、文字通りの意味での「人財」の意義が問われる時代がやってきているのではなかろうかと思う今日この頃。

2010年9月24日金曜日

続けるってこと。。。

アメリカメジャーリーグ、シアトルマリナーズのイチローが、10年連続で200安打を達成した。


10年間続けてきたこと。素晴らしい。

続けるということ。

常にベストコンディションを維持し、そして目標を遂行するためには、日々の努力もあるはずだ。
そして何と言っても、「メンタル」な面。

この「続ける」ってこと、先日も、とある知人と話し合う機会があった。

最近の日本では、なかなか疎かにされているのかもしれない。


政治家も、ころころ変わる。
テレビ番組も、ころころ変わる。
日常生活の製品も、ころころ変わる。
流行も、ころころ変わる。

最近の日本は、「飽きっぽい」と揶揄されることもある。


生活自身が豊かになり、努力して続けるということが、あまり美徳とされない世の中になったのだろうか。「泥臭い」「かっこ悪い」ということだろうか。



以前、流通の現場の第一線で、毎週のように新商品を取り扱っていた。
商品によっては、一週間で、日の目を見なくなってしまう商品さえあった。

当時の私は、本当にこんな短期間で商品の仕入れ方針を決定してしまって良いものなのかと疑問に思ったことは多々あった。

確かに、「この商品は、売れ続けるのは難しいだろうな」と思う商品も有ったのは事実。一方で、「これは、いけるのでは?」というものもあった。


様々な仮説を立て、様々な方向性から検討し、そこから導かれた結果から、継続するか否かを検証すべきである。


これは、商品の販売だけでなく、営業の取り組みから、日頃の趣味等でも同じことが言えるだろう。

短絡的に判断し、すぐに諦めてしまい、他のことに移ろってしまうのは、その人本人にとってもあまり良いことではないだろう。


目標に向かって続けることで、人は、そこで考え、精進し、そして鍛えられる。


これからも前向きに目標に向かって日々努力しないといけないと、改めてイチローのニュースを聞いて思うのだった。

2010年9月23日木曜日

仕事のマルチ化。。。

最近耳にするのが、「多機能工」や「仕事の多機能化」というもの。

1人で、一つの仕事内容をこなすのではなく、マルチに様々な職種をこなすというもの。

製造現場だけでなく、最近では、サービス業でも多く取り入れられている。


今晩のNHK教育テレビ「仕事学のすすめ」の中で、星野リゾートの星野社長が登場。

ホテルや旅館を運営する星野リゾート。
ここで働くスタッフは、一般的なホテルとは仕事のスタイルが異なる。

一般のホテルでは、ベル係、フロント係、宿泊係、レストラン係と分業されているのが一般的。

これに対して、星野リゾートでは、これらの仕事をマルチにこなす。
朝、朝食担当でレストランで働き、そしてチェックアウト対応、午後にはレセプション対応と、マルチにこなすのだ。


星野社長曰く、こうした仕組みは、8時間の就業時間を効率よく使うことが出来るだけでなく、全ての仕事を一通り身につけることで、会社へのロイヤリティも高まるのだとか。

さて、最近就航したLCC(格安航空会社)でもこうした「多機能化」が行われている。
先日、羽田空港に就航が決まったマレーシアに拠点を置くエアアジアXでも、従来は行っていなかった、キャビンアテンダントがチェックイン対応、客室乗務、そして機内清掃などすべての業務をこなすのだ。
これらの職務を一通りこなすことで、ローコストオペレーションに繋げるのだとか。


星野リゾートとエアアジアXとでは、その導入の目的は少し異なるようだが、こうした仕事のスタイルは、恐らく多くの業種でも広がるのではないだろうかと思う。

スペシャリストとゼネラリスト。
この開きが、より大きくなるのかもしれない。

そこで一番ポイントになるのは、恐らく、スタッフ自身の「モチベーション」というものが重要になるのではないかと思われる。


スペシャリストはともかく、ゼネラリストにとっては、こうしたマルチな仕事を求められると、スタッフ自身のモチベーションを維持させることが非常にパフォーマンスを左右するだろう。

その「モチベーション」を維持するためには、会社の雰囲気は勿論、社内のコミュニケーション量、それらを生み出す各種仕組み、そしてそして何よりも会社自身のビジョンやミッションの明確化が大切だ。

2010年9月22日水曜日

何か違うぞ、、その手法。。。

テレビ業界で、新たな取り組みをするらしい。

民放ドラマ、ネット先行で視聴者引き留め 口コミに期待 (asahi.com)



記事によると、ドラマ離れが進行するなか、視聴者を獲得するために、本放送が始まる前に、インターネットで動画を事前に無料配信とのこと。


事前に配信することで、クチコミを喚起し、テレビの視聴者獲得につなげたいのだという。

この記事を目にして、「う~ん、違う。」と思ったのは、私だけではないだろう。


何故、今、テレビ離れが起きているのか。
根本的な分析がされていない気がする。


以前に比べて、情報を収集するツールが多岐にわたるようになった。
即時性があり、情報も多種多様、情報の受発信も行える。

そんなメディアに対抗するために、従来と同じような番組作りをしていては、視聴者は戻らない。


地デジ、地デジと毎日アナウンスが入るが、では、地デジの仕組みを活かした放送がどれほどあるのか。
私が生まれる前ではあるが、モノクロからカラーへの移行は、カラーの画像で見たいという欲求が、カラーテレビの購買への行動に繋げた。

では、デジタル放送の魅力について、いまどれだけ取り組んでいるのだろうか。
NHKは積極的に取り組んでいるが、民放では、それほど感じられない。特に地上波の番組は。

このままでは、恐らく、更にインターネットへの依存度は高くなるだろう。


個人的には、番組自身の「質」にもっと深く切り込んでもらいたい。

昔に比べて、非常に薄っぺらい番組が多く感じる。
それは、情報番組・報道番組でもそうだ。

タレントに依存するのではなく、番組の構成・演出に切り込んでもらいたい。
人物設定やストーリーがしっかりしていれば、スピンオフの番組だってありだろう。


スピンオフをインターネットでやるのもありだろう、そもそもスピンオフは「クチコミ」を誘発しやすいネタだからだ。


何をテレビで、何をインターネットで、情報発信をするのか。

それぞれのメディアの特性を活かして、情報を取り扱うのがプロの仕事ではないだろうか。

テレビ好きの筆者としては、厳しい目線で応援したい。。

2010年9月21日火曜日

チームを作るということ。。

すべての点において100点満点の人間は、この世にいない。いるとすれば、神様だろう。

こんなことを考えるのも、ここ数日の菅改造内閣の新たな閣僚人事をみながら思ったこと。
本日、副大臣、政務官等が出そろった。


ところで、日本語に、「適材適所」という言葉がある。
御存じのとおり、人の能力や特性を正しく評価して、ふさわしい地位・仕事につけることを意味する言葉。


この語源は、日本家屋や寺社などの建築における材料の「木材」の使い分けにあるそうだ。

土台には腐りにくい耐久性のある材料、内装には、木目の美しい材料、屋根や梁には強靭な材料といった具合に使い分ける。


この材料の使い分けには、きちんとした大工の目利きがあってこそ行える。


さて、一方の人間に注目してみる。


人事における「適材適所」を実行するためには、個々の人間が備える「強み」や「弱み」を目利き出来なければいけない。

しかし、木材のように、これをはっきりと評価するのは、中々難しいものだ。


上司部下の関係で、多くの上司は、その部下の「出来ない点」ばかりに目が行くことが多い。

その部下の「強み」「長所」を見出せる人は、なかなかいない。


何故だろうか。恐らく、日々、そういう視点で見る癖が出来ていないからだろう。


また、自分自身さえも、「強み」と「弱み」を上手く認識出来ていないこともある。


さて、この「強み」と「弱み」。視点を変えると「弱み」が「強み」にもなることがある。

例えば、慎重な性格の人がいたとする。
慎重な性格のために、中々思いきったアクションが出来ず、プロジェクトが遅々と進まないということもあるだろう。

しかし、慎重な性格の人は、視点を変えると、非常に作業が正確な場合もある。
きちんと決められたルールに則り、100%的確な作業を遂行出来るといった具合。


こうして視点を変えることで、その人のパフォーマンスは最大化される。

そして、このパフォーマンスを最大化させることは、マネジメントする側の責務でもあると私は考える。


冒頭で、100点満点の人間などいないと書いた。

私自身、不合格点の面も多々あると思っている。

こうした苦手な部分があるからこそ、会社やプロジェクトチームで強みを持ちあい、組織としてパフォーマンスを最大化させようとするのだ。

そして、それが最大化されている組織こそ、強い組織なのだと思う。


「適(人)材適所」が「適財(務)適所」になっていないか。

人がいて初めて、会社や組織は成り立つ。
最近の組織論。こんな視点が少し欠けているのではと、つくづく思う。

2010年9月20日月曜日

演じて、育て。。

敬老の日の夕方、NHKで面白い番組が放送されていた。

タイトルは、「演じて育て!津軽の暑い7日間」。
NHK青森放送局の制作によるものだ。


演じて育て!津軽の暑い7日間 (NHK青森放送局)


青森市で実際に開かれている、中学生向けのワークショップ。

演劇とうものを通して、参加した中学生が、たった7日間の夏休みで大きな成長を見せるその過程を紹介していた。

ワークショップを開いているのは、劇団「渡辺渡辺源四朗商店」を主宰する、劇作家、演出家の畑澤聖悟氏。

渡辺渡辺源四朗商店

このプログラムには、演劇部の生徒から、普通の生徒等様々な中学生が参加。
中には、自分を表現することが苦手でそれを克服したいという男子生徒も登場していた。

演劇というものを通じて、劇中の登場人物の心情を想像し、自分がそれをどう表現したらよいのか。過去の経験や、その人物への役作りに、必死に取り組むプロセスとその成長ぶりを描いていた。


さて、私自身も、この「演劇」という視点について、兼ねてから非常に興味をもっている。実際、流通業に身を置いていた時代、店舗で従業員を指導する際に、この「演劇」の視点というものを使わせて頂いていた。

お店はステージ、スタッフは役者、そして、お客様はこれからおもてなしするゲストであると。。。

特に高校生のアルバイトスタッフは、生まれて初めての接客業となると、非常に緊張するものだ。そうしたスタッフに、君は店舗というステージで演技する役者だと役割を明確にし、「どう演じたらよいか」という視点で説明すると、意外に理解が早い。


「演じる」ということは、客観的にその立場・役割を観察し理解し自分なりに表現する行為でもある。この客観的な視点で立てるかどうかが、結構、ポイントなのかもしれない。

「演劇」と「教育」。

全く異なるような分野のようだが、意外に共通する要素が隠されているのかもしれない。

2010年9月19日日曜日

日本の技術は、誰に依存しているのか。。

今朝のサンデーモーニング(TBS系)のワンコーナーで、「日本の技術」というものを取り上げていた。

他国から欲しがられている「日本の技術」。

技術立国日本の頭脳というべき「日本の技術」が、最近、海外へ流出していると。


例えば、長年日本の製造メーカーに勤務していた人が、退職後、海外の企業に就職。
更には、ヘッドハンティングにより海外企業へ転職というのもあるらしい。


日本企業は、低迷する景気を理由に、多くの企業がリストラを行うなど、人材の流出が起きている。
そうした流出とともに、技術ノウハウそのものも流出してしまっているのだ。


80年代後半から、90年代、多くの企業がアメリカナイズされた手法を取り入れ始め、従来から培われた、いわゆる「日本流」の経営を捨てた。

「成果主義」を積極的に取り入れ、利益・効率重視の舵取りをするようになった。

「人」についても、同様に「コスト」と考える思考が増え始めた。

私の周囲にも、何人かの経営者は、「人」=「コスト」と明確に断言している人もおられる。

更に、「人を仕入れる」と露骨に表現するシステム開発会社の経営者すらいた。個人的には、この言葉を耳にしたときには唖然としたが、私が知っている中でも、やはりそこの組織の人材の出入りの激しい組織の一つだ。自ずと、採用費、教育費への依存は高い。


さて、その「人」の出入りが激しいと、実は企業にとって致命的だ。特に、技術系開発会社にとっては非常にその影響は高い。

出入りが激しい企業ほど、その人が所有す知識やノウハウが集められる仕組みは構築出来ていない。会社に対して、ロイヤリティとまでは言わないが、愛着が無い分、そうした情報が集まらないのは当然だ。

こうした動きは、開発会社ならず、サービス会社にとっても同じ。

すべての法人活動は、人によって成り立っている。

その「人」が、組織にとってどう存在すべきか。

そろそろ、バブル期の思考を捨てて、日本人の性格や風土に合わせつつ、グローバルな競争に勝てるための考え方というものを、真剣に考える時代が来ているのだろう。