2010年7月10日土曜日

映画「踊る大捜査線」にみる組織論

今晩、フジテレビで映画「踊る大捜査線 THE MOVIE」が放映されていた。

この映画、何度か既に観ているのだが、またまた見入ってしまった。

「踊る大捜査線 THE MOVIE」は、フジテレビ系の連続テレビドラマの劇場版。

何故、私は何度も見入ってしまうのか。
この映画が、極めて日本的な組織を描いているからではないだろうか。

本日放映していた「THE MOVIE」は、警察組織の本庁と言われる部署、そして所轄の警察署の関係をテーマに描いている。映画の中で、本庁を「本店」、所轄の警察署のことを「支店」と言っているだけあり、企業に置き換えても分かりやすい。

映画では、本庁を起点にした事件解決のプロセスと、所轄の現場を起点にした事件解決とパラレルで描かれる。
映画のストーリーである「警視庁副総監拉致事件」の事件解決は、本庁と所轄の双方が解決に奔走するが、結局、現場で足を使って情報を集める所轄の警察官によって解決に導かれる。


この映画では、縦割り組織の弊害、組織における権限、そして権限委譲、現場第一線からの情報の収集、意思決定、モチベーションなどなど、組織における様々な問題点を投げかけているのではないだろうか。

これら、多くの企業で抱えている問題でもあるだろう。

大企業から、中小企業、様々な規模の組織までもが、こうした課題の一つや二つは抱えているだろう。

私自身、社会に出たての頃の組織では、大企業ではあったものの流通業として、「現場主義」を叩き込まれた。
しかし、この「現場主義」も、部署や職位によって、捉え方の異なる人を多数目にしてきた。立場や役職によって、フィルターが掛けられてしまうのである。
そうした光景が、いつもこの映画を見ているとダブってしまうのだ。


さて、映画も、邦画や洋画が多数あるなかでも、ビジネスのヒントになるものは多数ある。週末、ゆっくり映画を観ながらも、ビジネスに置き換えて観賞してみるのも、たまには良いかもしれない。

2010年7月9日金曜日

電子書籍分野は、単なる書籍の二次利用だけではない、、はず。

今日、東京ビックサイトで開催されていた「東京国際ブックフェア/デジタルパブリッシングフェア」に行ってきた。

アジア最大級の書籍の展示会、東京国際ブックフェアの併設展示会としてデジタルパブリッシングフェアが開催されていた。

書籍やコミック、雑誌などのデジタル化や配信、デバイスなどの最新技術等が紹介されていた。

私のお目当ては、何と言っても、電子書籍。


出展社は、印刷会社、ソフトウェア会社、国内外のインターネットベンチャー会社など様々。流石に、Googleのブースには多くの客が集まっていた。Googleエディションに関しての発表があたからだろう。

さて、印象としては、まず大手印刷会社が電子書籍プラットフォームを整備して出そろったという感じ。出版社とのタイアップを非常に意識しているという感じではあったが、併設展示会のブックフェアに出展している出版社との温度差を非常に感じた。

全体的として、「プラットフォームの覇権争い」「既存の書籍の二次利用」というのが今回のイベントから受ける印象だ。電子書籍の普及のカギは、そのプラットフォームの上に乗せられるソフト(=書籍)次第だ。ソフトの内容がカギを握るのだ。

話がそれるが、地上デジタル放送完全移行まであと1年を切った。今月に入り、アナログ放送での視聴は、多くの頻度でデジタル放送への移行のアナウンスが見受けるようになった。しかし、根本的に、デジタル放送ならではの番組作りというものが、表だって出てきていない。積極的に頑張っていると言えば、NHKの紅白歌合戦くらいだろう。

さて、話を電子書籍に戻すが、今日のイベントの印象も、先のデジタル放送の取り組みと同じように見えて仕方ない。

プラットフォームという意味では、やはり、Googleの動きに目が離せない。
優良なコンテンツを囲い込み、そのコンテンツを最大限に活かすというように私の目には映る。点では無く、線や面でその戦略が構築されている。そして、新しい技術によって、次世代の書籍の在り方というものまで、期待させられるのだ。

そういう意味では、国内の多くのサービスが、既存の書籍の二次利用、そしてプラットフォームの覇権争いとしてしか見えなかった分、まだまだ潜在的ニーズをくみ取る新たなビジネスチャンスは隠れているのだろう。

弊社自身も一つ考えて見たいと思う今日この頃だ。

2010年7月8日木曜日

一つの「顧客の声」から、全体の顧客のニーズを捉えるには。。

先日6日に発表された、NHKの大相撲中継の中止。
その後、NHKに対して視聴者から意見が問合せが続いているようで、その内容は、「中継すべきでない」(27%)を「中継すべきだ」(46%)が上回っているのだそうだ。


大相撲:NHK「中継すべきだ」の声が上回る(毎日.jp)
■【大相撲中継中止】「楽しみにしていたのに」NHKに反響1200件「中継すべき」が反対を上回る(産経ニュース)



さて、今回の中継は、社会的問題の深さと、決定前に寄せられていた多くの声を考慮し判断されたものだが、この「決定前に寄せられた多くの声」に注目してみたい。


この「決定前に寄せられた多くの声」は、ほとんどが「中継すべきでない」という声だ。そもそも、今まで何もなければ中継しているところを、それに反対する意見ということで、そうした意見が集まる。そもまま中継して欲しい人は、わざわざ意見するというこ行動には出ないのだ。

つまり、この「否定の意見」は、全体の中でどれくらいの割合なのかは、きちんと調査しなければ、実は分からないのだ。


企業においても、お客様からのご意見というものは、様々な形で集まってくる。苦情もあれば、叱咤激励もある。
さて、それらが、全体のお客様の中で、どれほどの割合を占めているのかは見えてこない。

さて、こうした「お客様の声」は、どのように扱うべきか。

「お客様の声」は、提供する商品やサービスの満足のバロメーターであることは間違いない。ここで集められる「声」は、全体のお客様の意見の一部ではあるが、少なくとも、何らかの「予兆」「シグナル」として、まずは捉えるべきであろう。

そして、その「予兆」「シグナル」を起点に、より深掘りするための実地調査、現地視察などに展開すべきだろう。

「お客様の声」として集まるものは、あくまでも氷山の一角。
その水面下に、どのような声が埋まっているのか。集まった「お客様の声」を氷山の一角として処理してしまうのではなく、一つ一つ有効活用しながら、より深層に迫っていくべきなのだろう。

2010年7月7日水曜日

編集者の「意図」を読み取るということ。。。

今日は、映像の話題を。

まずは、こちら。

世界中から集めた映像、1本の映画に ユーチューブ企画(asahi.com)


YouTube「LIFE IN A DAY」プロジェクトサイト

動画投稿サイトのYouTubeの企画。
ある特定の日に撮影した世界中のユーザーの映像を、1本の映画にまとめるという企画。
いろんな人の目線で描かれた、その日のとある時間を集めたドキュメンタリー映画だ。
さて、どのような映画になることやら。

さて、ドキュメンタリーという点で、物議を噛ましている映画が一つある。

オスカー賞最優秀長編ドキュメンタリー賞を受賞した、映画「ザ・コーブ」だ。

映画「ザ・コーブ」オフィシャルサイト

映画「ザ・コーブ」ダイジェスト動画


特に、この映画「ザ・コーブ」が現在物議を噛ましているのは、その表現。

現職で今現在も活躍されている水産庁の職員を、「退職した」と事実と異なる情報を描いたり、入り江でイルカが殺されている所を見て涙を流す西洋人カップルを描いているシーンも、実は、イルカが殺されているシーンと、涙を流すシーンとは、全く別々に撮影されており、あたかも、そのシーンを見ながら泣いているとして表現しているのだとか。

もうひとつ、先日、こんなテレビ番組があった。

テレビ朝日「毒トマト殺人事件」


こちらは、SMAPを主役としたテレビドラマ。ただし、ドラマの映像は、別の番組のために撮影されたものなどを、再編集して、別の番組として作られたもの。
当のSMAP自身は、このドラマの企画は知らされず、映像を作成し、番組内で観賞してもらうという企画だった。


さて、今日ピックアップした3つの企画。
どれも、別々に撮影されたものを、ある意図を持って編集し、あるメッセージを作成している。

編集次第では、撮影された内容の主旨が、全く変わってしまうことさえあるということを顕著に表わしているだろう。


技術が発展し、手軽にこうした映像情報や音声情報を誰もが編集出来る時代になった。
情報の受け手は、意識をしていなかったら、こうした情報の発信者の「意図」というものを、見落としがちになる。

映画やテレビ、その他、様々な情報に接する際、こうした情報に対する発信者の「意図」というものを、常に意識しながら処理する「目利き」の視点を、我々は忘れてはならない。

2010年7月6日火曜日

意図しないものが伝わるということ。。

今日、かねてより注目を集めていた、NHKによる大相撲名古屋場所の中継について、その方向性が出た。結論としては、中継は取りやめ。

放送を開始して初めてのこと。ラジオを含めると80年以上相撲中継を継続してきて以来のことだ。

今回の取りやめは、反社会勢力との関わりがあるとされる野球賭博問題に端を発しているものだが、相撲中継の映像そのものに、暴力団組員が映っていたことも、以前話題になっていた。

相撲中継そのものが、相撲の取り組みを伝えるという目的以外に利用されてしまったということだ。

ところで、今日は、まったく違う話題も、もうひとつ紹介。

アンナ・チャップマンというロシア人女性。この女性が、先日アメリカ国内で逮捕された。その逮捕容疑は、アメリカの核開発計画やアフガニスタン政策に関する情報を収集してロシアに情報を流していたということらしい。

アンナ・チャップマン容疑者の画像、写真(by NAVER)


この女性は、会員制交流サイト「Facebook」に、自身の写真や映像を公開。
ニューヨークのマンハッタンのコーヒーショップや書店でロシア当局とデータ通信を行うなどのやり取りをしていたのだとか。

さらに、この写真画像。
一見、なんの変哲もない画像に見えるが、この画像ファイルそのものに、様々な情報を密かに埋め込みやり取りをしていたのだとか。真偽のほどは、定かではないが、技術的には可能な話だ。


さて、この2つの話題。

どちらも、本来の目的ではない目的のために、情報ツールやメディアを利用しているところに共通するところがある。

大相撲は、暴力団の若い衆が獄中の幹部に元気な姿を伝えたいということで映像に映っていたとされているという点。
また、アメリカのスパイの話題は、本来のコミュニケーションの目的以外のものに、情報を隠して伝達しているという点。


情報伝達ツールが、普及するにつれて、それを本来想定していなかった方法で利用するユーザーは、必ず出現するものだ。その利用方法は、プラスの影響を及ぼすものもあれば、マイナスの影響を及ぼすものもあるだろう。


少なくとも、我々は、そうした情報伝達ツールの開発や企画に携わる人間として、想定外に使われるリスクを常に抱えているということを、肝に銘じなければならないのだろう。

2010年7月5日月曜日

異文化の一体化が、現場の混乱をもたらす

ここ数日、日本郵便の集配に遅延が生じているらしい。
昨日の発表で、約26万個の荷物に影響が出ているのだとか。

先日1日より、ゆうパックは日本通運の「ペリカン便」を吸収し、事業再編が行われたばかり。

その初日から、1日平均約6万6000個が、半日から2日程度の配達の遅れが出ているそうだ。
原因は、事業再編後、取扱量や取り扱い窓口が増えた一方で、1か所あたりの取扱個数が急増、更に不慣れな機械操作が原因とみられている。


事業統合等が行われると、往々にして発生するのがオペレーション上のトラブル。

過去にも、大手都銀、航空会社の合併等の際にも、オペレーション上のトラブルが発生し、大きな影響を及ぼしたことがあった。

その多くが、事前のオペレーション上の想定の甘さ、使用するシステムなどの仕様におけるブラックボックス部分の顕在化、そして、そもそもの組織文化の違い等に影響することが多い。


私自身も企業合併は2度経験したことがあるが、やはり、組織文化の違いによる現場への影響が大きいことを、肌を持って実感したほどだ。


さて、こうしたオペレーションは、「可視化」されていないことが多い。

「口頭でのOJT」、「口承での技術伝授」、「現場任せ」ということで、明文化されていないことが多々ある。

ひとたび、経営のかじ取りで、こうした異文化の組織が一緒になった際、こうした可視化されていないことが、現場に混乱をきたしやすい状況を生んでしまうのだ。


今回の、トラブルの原因は、詳細には発表されていないが、恐らく、こうしたことの積み重ねによることと、事前の現場シミュレーションの不足により、発生したのではと思われる。

そうした意味でも、オペレーションマニュアルによる、日頃からの業務の可視化は非常に重要なことなのである。

2010年7月4日日曜日

マニフェストも携帯で見る時代。。。

参院選、選挙活動まっただ中、各地で各党の候補者を目にするようになった。

各党が訴える内容はマスメディアから、立候補者が訴える内容は街頭演説から伺うことができる。勿論、今時は、わざわざアクセスすれば、WEBサイトでも何を訴えているか情報を得ることは出来る。

そんな中で、次のような記事を見つけた。

ケータイで「公約」比較、無料アプリが登場(YOMIURI ONLINE)


iPhoneなどのスマートフォンで、各党の公約を比較できるのだ。

エレクション マニフェスト ビューアー (株式会社イーハイブ/ Apple iTunes)


私も、早速自分の携帯電話にインストールしてみた。

アプリケーションのインターフェース的には、まだまだ課題があるが、すべての政党の訴えを項目に区分し、各ページにて閲覧することが出来る。

わざわざ、その政党のWEBサイトまでアクセスすることなく比較できるという意味では、便利かもしれない。

ただ、「見比べる」という意味では、まだまだ機能として展開出来る余地はあるような感じだ(公職選挙法の縛りはあるだろうが…)。


さて、このように従来の選挙と比べて、様々なデバイスを介して、各政党の情報を収集出来る時代にもなった。

マスメディアによる、政見放送ではなく、報道番組における「時間的制約のあるなかで編集された情報」だけではなく、昔に比べて有権者として必要な情報も、手に入れやすい時代になった。より多くの判断材料を得ることが出来るようになったのだ。


政治家からすると、有権者が多くの判断材料を得ることになった分、有権者からの国政に対する目も厳しくなるのは当然だ。

また、マスメディア対しても、有権者と政治家の情報コミュニケーションが直接行える時代になった今、どういった役割で、どのような情報を、「プロ」としての情報発信を期待する。

さて、選挙活動も後半戦に突入。各党が、どのような公約を打ち出し、何を訴えているのか、「今時の情報ツール」を使いながら、じっくりと見極めて見たいと思う。