2010年2月27日土曜日

今週、タイトルを見て思わず衝動買いしてしまった雑誌。


2010年3月3日号のNewsweek紙。タイトルは、『リストラが会社をダメにする』。

その記事の中にこんなものがある。

08年の調査によれば9.11テロ後
航空各社の人員削減によってサービスの質が低下したため
旅客機の利用が減って業界全体の売上高は1年間で96億ドル減った

とある。

私が以前より指摘していることが、記事になっていた。

また、記事は、こう締めくくっている。

・・・レイオフは企業を損ない、経済に打撃を与え、従業員に破壊的な被害をもたらす。・・・過剰な人員削減がもたらすダメージは景気が回復した後も続くだろう。そのダメージに見舞われたとき、経営者はようやく自らの過ちに気付くのかもしれない。

財務的に経費を大きく締めるのは人件費。利益を捻出しようとする際に、どうしても目が行ってしまうのは人件費。しかし、一方、売上を作っているのもお客様であり、そのお客様との関係を作っているのは、社員である「人件費」だ。

この「人件費」には、目に見えない資産が多く含まれていることを忘れてはいけない。
「お客様との信頼・満足度」「将来への成長力・研究開発力」「仕入れに対する交渉力」「商品や技術、ノウハウなどの創出力」といったものがある。

これらは、非常に重要なキーファクターではなかろうか。
目に見えない「力」ではあるものの、工夫をすれば、これらを「可視化」することは可能だろう。

こうした「力」が、経営側にもきちんと把握できる術を持っていれば、大規模なリストラを行う前に、違う舵取りを取ることができるかもしれない。
少なくとも、こうした「可視化」こそ、ITを使うべきであると思うのだ。

2010年2月26日金曜日

「情報」というものの「価値」を考える

ちょっと今週、気になったニュース

米国3大ネットワークの一つABCが報道部門 ABC News に対して過去最大の大幅リストラを実施すると発表した。従業員約1300人に対しての20%~30%の約300人が対象なのだと。
競合ネットワークのCBSニュースも2月になって約90人のリストラを行っているそうだが、今回のABCニュースの規模は大きい。

昨年、NewYorkTimes紙も大規模なリストラを行った。過去に新聞等の印刷報道、文学などに与えられる米国で最も権威ある賞「ピューリッツァー賞」を受賞した敏腕記者までリストラされたという話も聞いたことがある。


ここで気になるのは、今、所謂、既存メディアと呼ばれる業態が新たな転換期を迎えている。従来の広告に依存したビジネスモデル。広告収入の減少が経営を危ぶませているのだ。広告収入減少の原因としてインターネット広告の台頭などを理由にしている論調も聞くが、「広告」そのもののが時代の転換期に差し掛かってきているのだと思う。

そうした意味で、広告に依存したモデルというのは、非常に危うい考えだが、そのようなこともあってか、「ニュース」そのものが有料化の動きも出てきている。

テレビでは、アメリカニュース専門放送局であるCNNなどが先駆けではないだろうか。今ではFOXニュースなどの競合放送局も台頭してきている。

しかし、一方でメディア報道が広告収入では成り立たなくなるということは、非常に大きな問題も抱えていると私は思っている。

それは、「広告で成り立つ」=「広く誰もが手軽に情報を得られる」ということであるが、これが崩れてしまうということに成りかねない。

つまり、裕福な人とそうでない人との間に情報格差が生まれてくるのではないだろうかということだ。

既に徐々にその傾向を感じている。

情報が氾濫していると言われているが、本当に必要な情報というものは限られている。
「最近は情報はタダ」と言われる人もいるが、そうした論調が、逆にこうした事態に拍車をかけてはいないだろうか。

果たして、それらの情報を目利きする力が必要であることに加えて、「入手するための資金」も必要になるという時代になるのだろうか。。。

2010年2月25日木曜日

シンプルで単純だけれども、重要な情報伝達。。

今朝は、いつもの目覚まし時計とは違う音で目が覚めた。
その音とは、「汽笛」。

汽笛といっても、鉄道ではなく「船舶」。

私は海岸近くに住んでいるため、時々、船舶の航行時の汽笛が聞こえるのだ。

特に、今朝は、東京湾が濃霧で覆われたため、船舶が安全航行するために汽笛を鳴らしていたのだ。実は、同じ東京湾に面する羽田空港は、この濃霧のため、午前中、離発着が出来ない状態が続いていたらしい。

ところで、この船舶の汽笛は、「操船信号」として使われているのだという。
つまり、「音」による情報伝達だ。

調べてみると、以下のようなパターンの信号があるのだとか。
  • 針路を右に転じているとき   ・ (ボッ)
  • 針路を左に転じているとき   ・・ (ボッボッ)
  • 機関を後進にかけているとき   ・・・ (ボッボッボッ)
  • 先行する他船を追い越すときは次のとおり。
  • 右側から追い越すとき   ─── ─── ・ (ボー ボー ボッ)
  • 左側から追い越すとき   ─── ─── ・・ (ボー ボー ボッボッ)

汽笛の音程は、船の大きさによって違い、大きな船ほど低い音になるようだ。
今朝の汽笛は、非常に低い音が続いていたので、大型船の航行だったのだろう。


調べていて、意外に思ったのだが、船にはレーダーがあるはずだが、それは上手く活用されないのかと。。

良く考えると、レーダー自身では、その船の針路がどちらに向かっているのかを把握するには、ある程度の時間経過が必要だ。そうしたことを考えると、自らの意思表示と言う意味で、汽笛は非常に濃霧の中では有効な情報伝達手段なのだろう。


原始的と言えば原始的。しかし、シンプルで単純であるからこそ、複雑な情報を伝えるのではなく、伝えるべき情報をきちんと伝えられる。

情報を伝達することを考えるときに、常に機械やコンピューターに頼るのではなく、時にはこうした原始的な視点考えてみることも大切なのかもしれない。

2010年2月24日水曜日

Google社の「イノベーション」力。。。。

今日、久しぶりにIT系のセミナーに参加させていただいた。
テーマは、CMS。Contents Management System。

具体的な内容は、「Googleの日本語入力の開発秘話」「CloudとGoogle Enterprise Solution」「Googleサイトを使いたおす!」の3本柱。

その中で特に印象に残ったのが「Google日本語入力」の開発の裏話。


「Google日本語入力」という機能をご存じだろうか?

「Google日本語入力」

Google社が開発した日本語入力変換アプリケーションがある。従来Windowsには、「Microsoft IME」というものが入っているが、このGoogle版と考えるとわかりやすい。

昨年12月より、開始された新しいサービス。

その開発者の裏話を聞く機会があったのだ。

Google社には、勤務時間の20%を自由のやりたいプロジェクトに時間を割くよう義務づけられている「20 percent time」というルールがあるのだという。
今回の「Google日本語入力」のサービスは、このルールを使用して実現されたものだ。過去にも、今でこそ一般的に利用されているGmailも、このルールによって生まれたもの。


Google社は、検索エンジンという主たるサービス以外にも、様々な新しいビジネスを数々生み出してきている。それらは、こうした「新しいことを生み出す土壌」をきちんと用意しているからこそ、出来る技なのだと私は思っている。

Google社に限らず、今、この不景気の時代ながらも元気な企業がいくつかある。それらの会社に共通することは、Google社のように、常にイノベーション、つまり新しいことへの挑戦、創造への努力を惜しまない。


さらにこうしたイノベーションというものは、トップダウンで生まれるものではなく、現場の小さな発見やアイデアから生まれる。こうした「タネ」をきちんと組み上げ、受け止めることの出来る仕組みが組織に必要だ。

Google社のミッションステートメントには、
Google 独自の検索エンジンにより、世界中の情報を体系化し、アクセス可能で有益なものにすることです。
とある。

この使命が、社員一人一人にきちんと伝わっているからこそ、「20 percent time」というルールにおける自由な取り組みにも、それらの考えが反映された新しいものの創造に繋がっているのだろう。

2010年2月23日火曜日

最近、続々登場。街中の新型信号機!

最近、毎日通る駅前の交差点の信号機が、新しいタイプのものになった。

形状は、LED等を内蔵するなど以前のものより薄型になった。
また、歩行者用の信号は、発光する着色された部分が以前のものと反転するタイプとなった。
黒の背景に、緑と赤の歩行者のピクトグラム(視覚記号)というもの。


更に大きな違いは、発光している部分とは逆の部分に、時間表示されるようになったことだ。表示信号の残時間が、砂時計のように発光部分が徐々に減る形で表示されるのだ。

(写真だと、青信号の場合に上の部分が時間表示されている)

今までの形状とは基本的に変わっていないが、工夫することにより、今まで伝えられなかった新たな情報が付け加えられることとなった。LEDという技術とデザインの工夫により実現されているのだ。


インフォメーションデザインは、工夫することで、基本的な形を大きく変えることなく、より多くの情報、より有益な情報を、直感的に伝えることができる。

街中にある様々な標識、各種案内、機械のインターフェースなども、まだまだ改善することができるであろうと思われるものは、多々ある。

「何気なく、困った!?」と思ったところに、その改善のヒントが隠されているのだ。

2010年2月22日月曜日

地図に見る、インフォメーションデザイン。。

さて、写真は打ち合わせで出かけた際にとあるJR東日本の駅で撮影した駅周辺地図の写真。


最近、JR東日本管内の駅周辺地図は、駅案内表示含めて、以前よりも非常に見やすいものになった。文字のフォント、大きさ、LED表示などなど、様々な視点で改善されている。


ところで、私がこの駅案内でいつも戸惑うものがある。それは、この写真の駅周辺地図。
何が戸惑うのかと言うと、表示されている方角だ。

仕事で打ち合わせの際、事前に訪問先を地図で調べるが、ほとんどの地図が北を上にした表示のもの。そのイメージのまま記憶して、いざ駅で地図を見ると、覚えていたイメージと合致しない。そう、駅周辺地図の方角は、地図を見ている人の前方を上にしたものになっているのだ。



専門用語では、前者を「ノースアップ表記」、後者を「ヘディングアップ表記」という。

今では一般的になった、カーナビの表示は、この2つの表示を切り替えられる機能を搭載している。私は、常に「ノースアップ」派だ。


ところで、これは空間認知学の領域の話。

どうやら、この空間認知については男女差があると言われている。女性に「地図が苦手」と言う人が多いことが、学術的にも研究されているのだ。

例えば、男性は目的地に向かう場合、全体的な位置関係を把握して進むと言われているのに対して、女性が目的地に向かう場合、ルートに沿った目印を記憶しながら進むと言われている。道案内も、男性は東西南北や距離を使う人が多いのに対して、女性はランドマークを使用する人が多いという実験結果も出ているのだ。


さて、今回の駅周辺地図。
多くの公共機関がヘディングアップ方式を採用している、もしかしたら道に迷いやすい、女性に配慮した情報デザインを意識しているのかもしれない。


ところで、みなさんは、「ノースアップ派」?、それとも「ヘディングアップ派」?

2010年2月21日日曜日

既存メディアから考える「情報を伝える」ということ。

私たちは、毎日何かしらの形で情報を収集している。その情報を我々に伝達してくれるものが「メディア」。

「メディア」という言葉を聞いて、多くの方が、テレビやラジオ、新聞というものを思い浮かべるだろう。昨今では、これらに対して、インターネット、携帯電話などが加わる。

こうした新しいメディアを議論する際に、業界では前者を「既存メディア」として区分する。


先日、とあるテレビ番組で「メディア」というものについて特集していた。そこでゲストの1人が、この「既存メディア」のことを、新しいインターネットなどの新興メディアと比較して、「欲しくない情報を届けるもの」として表現していた。

確かに、既存のメディアは、インターネットや携帯電話が「自ら情報を取りに行く」特徴を持つことがあるのに対して、情報発信者側からの一方的に情報が流される。情報は、受け取る側としては、受け取るか否かしか選択することは無い。


番組では、「欲しくない情報」というキーワードを使用していたが、私としては少し違う視点で考えてみたい。

情報を、

「知るべき情報」-「知らなくても良い情報」

という視点で考えてみてはどうだろうか。

「欲しい」「欲しくない」という視点は、あくまでも自分が中心の考え方。自分自身が「欲しくなくても、知らなくてはならない情報」というものが多々ある。
そうした情報が、きちんと伝えられておらず、問題や紛争に発展してしまうことにもなりかねない。


既存メディアは、インターネットや携帯電話に対して「マスメディア」とも表現される。「マス」=「大衆」という意味があるが、広く公共性に影響を及ぼすという意味も含まれる。

そういう視点で考えてみても、「知る権利」というものが重要なポイントになるのではないだろうか。

情報を伝える発信者が「伝えたい」という視点ではなく、受信者が「知るべき」という視点が、情報伝達をするときに考えなければならない、重要な視点ではないだろうか。