2009年10月17日土曜日

従来の概念にとらわれない新商品開発

今週振り返って、気になる商品を二つ紹介したい。

一つは、これ。



「羽根のない扇風機!?」。あの掃除機で有名なダイソン社が開発したもの。


商品名は、「Dyson Air Multiplier」。今までの扇風機とは全く異なる形状で、「輪っか」から空気を流すらしい。まぁ、羽根が無いだけあって、「扇風機」というよりも「新型送風機」という方が正しい表現だろう。




この商品、流体力学を応用して、従来の扇風機に比べて、空気の流れが15倍にもなるらしい。




さて、もうひとつ。こちらの商品を


こちらは、ある報道番組で紹介されていた。

ロジカルプロダクト社の「IHアイロン」という商品だ。これは、九州電力が開発し、ロジカルプロダクト社が製品化したもの。


従来の本体に鉄板がついたアイロンとは構造を全くことなり、電磁調理器の応用となっている。本体自身には、高周波コイルがあってアイロン台が熱くなるというもの。アイロン台は、アイロンが当たっている時だけ熱くなり、アイロン台の裏には冷却ファンがある。


さてさて、なぜこの2つの商品を取り上げたかというと、両商品に共通するのは、「従来の概念に全く囚われていない」ということ。

日々生活をしていると、どうしても常識にとらわれ、なかなか新しい発想するということが難しいものである。

企業においても、新しい意思決定、問題発見、企画などをする際に、一方向だけの視点や過去の経験ですりこまれた常識にとらわれがちである。こうした形では、新しい創造やクリエイティヴな発想は行えない。


物事を考えるとき、常に様々な視点で考えるという癖を、日頃から意識しておくということが重要なのだろう。




2009年10月16日金曜日

あの駅の発車メロディが無くなる!?

昨日のある情報番組で、面白いアンケート結果を放送していた。
内容は、駅で流れる「発車メロディ」についてである。

そのアンケートの内容は、
「駅で、発車メロディを聞いて、あなたはどう感じるか」というような内容の街頭インタビューで、多数が「焦る」という結果を報じていた。つまり、メロディを聞くと、焦って電車に飛び乗るということだ。


この駅の「発車メロディ」は、最近は「駅メロ」とも言うらしく、JR東日本の首都圏では様々なメロディーがある。最近では、サウンドトラックや楽譜、目覚まし時計までもが発売されていているらしい。


さて、この番組では、街頭インタビューを交えながらも、「JRの発車メロディが消えるかも!?」と紹介していた。というのも、この「発車メロディが駆け込み乗車を助長しているのでは?」という実験結果が出ているらしいのだ。

JR東日本では、今年の1月から東京駅と新宿駅で、発車メロディが2~3秒に短縮する実験を行っていた。ポスターでも告知されていたので、ご存知の方もいるかもしれない。
この結果については、精査して検討とのことらしく、すぐにメロディが廃止されるというわけではないらしい。


私が思うに、この発車メロディ、使い方(コンテクスト)が悪いのではと感じている。


時間調整のためだとは思うが、せっかくのメロディを途中で中断させることも多々あり、非常に不快にも感じることがある。通勤途中のラッシュアワーでは尚更だ。

先ほど、使い方(コンテクスト)が悪いと書いたが、そもそも、駅構内で乗客に対して必要な情報は、
1.列車の接近を知らせる警告アナウンス
2.列車の発車を知らせるアナウンス
と大きく二つある。

これを、情報の受け手である乗客に対して、どう伝えるかというコンテクストを考えなければならないのだ。

このコンテクスト、場所によっても若干異なっている。

数年前まで住んでいた関西圏では、かなり昔から、列車接近を知らせるアナウンスに「メロディ」を、そして、発車を知らせるアナウンスには「電子音、もしくは2~3秒の短いメロディ」を利用していた。
もちろん、列車接近は数秒前から鳴り出すので、メロディが途中で遮断されるようなことも無い。


一方、関東圏で通勤するようになって、人身事故が多いことに驚いた。更に、列車接近の警告よりも、発車のアナウンスのほうが、重視されているのかなという印象も同時に感じた。

人身事故が多い統計は、乗降客がそもそも多いということに起因するだろう。しかし、列車の接近に関するアナウンスの工夫をすることにより、人身事故も今よりは減るのではと思ったりもする。

つまり、「乗客へのアナウンス」のコンテクストを見直すのだ。

せっかく、映画のテーマ、アニメソング、シャンソンから野球の応援歌に至るの数々の曲など、ご当地の発車メロディが多数ある。こうしたメロディの導入コストをかけるのであれば、尚更、コンテクストを見直すべきだろう。

現状の使い方は、非常にもったいない。

2009年10月15日木曜日

情報のインパクトをどう伝えるか?

こちらの写真は、自宅からほど近くにある、とある大型スーパーで見つけたウィンドウディスプレイ。





あの掃除機メーカーのDyson社の新商品「DC26」のPRディスプレイである。
Dyson社の掃除機と言えば、「世界で唯一の吸引力が変わらない掃除機」という触れ込みで日本に参入して数年が経過。既に消費者にも認知が広がっているのではないだろうか。

そうした中での新商品。

今回は、日本市場向けに小型化された商品なのだとか。

このディスプレイの右には、社長自らのメッセージが。





” 小型化と、単に小さくすることは違います。DC26のサイクロンは、ただ小さくなっただけでなく、サイズや角度をもう一度計算・設計し直すことで、小型ながら従来と同様の遠心分離効率が実現したのです。~ジェームズ ダイソン / サイクロンテクノロジーの開発者~ ” 




「小型化」と一言でメッセージされても、実物と比べなければ、情報の受け手としては、そのイメージがし難いものである。そうした意味での、実物大のディスプレイは非常にイメージもしやすい。

さらに、「中身を見せる」というのは、非常にインパクトのある演出法だ。このディスプレイの設置場所は、郊外の大型スーパーということもあり、親子連れの顧客層に対しての露出の効果も期待できる。特に、こうした細かいパーツの分解は、子供の注目もひきやすい。


ただ、残念なことが一つ。このディスプレイの設置場所。この大型スーパーという、非常に多くの人への露出の可能性がありつつ、人通りの少ないところに設置されていた。
もう少し、顧客導線のトラフィックが多いところに設置すればよいのにと思ったのだった。

2009年10月14日水曜日

ポイントカードから、顧客の動きを読み取る

今日、あるテレビ番組で「コンビニ弁当、値下げ競争の舞台裏」というテーマで放映していた。
私自身、もともと同業界に身を置いていたこともあり、最近の動向にも興味もあり視聴してみたのである。

90年代に私が身を置いていた時代とは異なり、現在の未曾有の不況のなかで業界自身の経験したことのない苦境に面している中での、様々な取り組みの紹介をしていた。

特に顕著に問題になっているのが、お弁当や総菜の売り上げの落ち込みがひどいらしい。
雑誌、飲料水などと一緒に購入する、この主力ジャンルの落ち込みは、お店自身はもちろんのこと、チェーン全体の売上も大きく左右する。


従来のコンビニのコンセプトである「便利さ」が変わってきている。社会環境の変化、法制度の変化によるスーパーやドラッグストアとの差別化も薄くなっているのである。更に不況が追い打ちをかける形で、消費者自身が「安さ」重視の傾向が顕著になっており、「安さ」を訴求してこなかったコンビニは痛手となっている。


この番組で印象に残ったのが、ローソンのポイントカード戦略の話である。


POSデータの分析を、小売業でいち早く取り入れてきたのが、コンビニ業界である。どういう商品がいつ売れたかというのはもちろんのこと、「どういった客層が」にあたるデータについては、年齢層と性別と組み合わせた形で、データ分析を行ってきた。

しかし、現場にいた私が非常に感じていたことでもあるが、この「どういった客層が」という部分のデータのインプットが、非常に「主観的」なものになってしまっていたのだ。

この年齢と性別のデータは、レジ清算時に、キャッシャーと呼ばれるレジ担当者が清算ボタンと一緒に押すことによって、インプットされる。
このボタン操作は、レジ担当者自身の主観によるものになってしまうので、「老けて見える人」「若く見える人」などの見かけによるデータのブレも存在する。更に、来店ピークで、一人でも多くのお客様の生産を処理しなければならないという焦りから、押し間違いなどがあるのも事実だ。


こうしたデータの「曖昧性」が存在してしまうということで、より精度の高い情報の収集するために、クリスマスケーキや年賀状、おせち料理などの催事の予約商品で、近隣客の精度の高い定量情報を集めるのである。

さて、ローソンが導入している「ポイントカード」。

これは、カードを申し込む際に、かなり細かい個人情報を登録する必要がある。

この登録された情報を活用することで、以前より増して、より具体的な「顧客層」を捉えたかたちでのデータ分析が行えるというのだ。

事実、番組でも紹介されていたが、実際の購入している顧客が、「どういう顧客層で、どこから来て、どの商品を購入しているのか」を、より具体的に分析することにより、欠品気味であった取扱商品の発注量を仮説を立てて増やすことで、売上を上げることができたと紹介されていた。


データ分析を行う際、結果データばかりを見てしまう場合が多々あるが、そもそも、そのデータがどのような環境で、どのように収集されたかという前提条件を、今一度チェックすることも、日頃の業務の中で忘れてはならないことの一つだ。データの精度である。

更に、もうひとつ。データで見えるのは、あくまでも、「過去のその時の結果」であり、そこからそのままでは何も生まれない。

上述のデータ分析で判明したことは、あくまでも「顧客層」が「何を購買した」ということだけである。「どうして」という部分は、そのデータから読み取り「仮説」を導いて、一度検証してみなければ、明らかになってはこない。つまり、「仮説」「実施」「検証」のサイクルが大切なのだ。

2009年10月13日火曜日

情報による誘導は、見る側の視点で考えるべし

今日の1枚は、毎日通勤で通る東京駅でのひとコマ。
前々から気になっているが、駅の発着番線の案内表示に、一瞬戸惑うことが多々ある。

まずは、こちらの画像を見てもらいたい。




まず、東京駅に詳しくない方に、少し説明を。

ここは、東京駅の中でも地下深くにある「京葉地下ホーム」と言われるところ。かの有名な非常に長い、恐らく500メートルはあるコンコースをひたすら歩き、地下深くまで延びたエスカレータをおり、「さぁ、どちらのプラットフォームに行ったら良いか」と、一息入れる地下フロアの一場面である。


右側と左側とそれぞれ2段ずつ発着列車の案内がある。
1枚目の画像は、右側に1番ホーム、2番ホームの列車案内。そして左側には3番ホーム、4番ホームの列車の発着案内が表示されている。

では、次の画像を見てもらいたい。




こちらは、別の時間帯に撮影した写真。
先ほどの違いとして、右側に、3番線の列車案内が表示されているのがお分かり頂けるだろう。

この3番線の電車に乗りたいと思ったら、気持ち的には右側に足を動かしたいところ、実は左側に行かなければならない。というのも、実際のプラットフォームは、右側が1番線&2番線、左側が3番線、4番線となっている。
しかし、感覚としては、時計をはさんで右側の情報が右側のプラットフォーム、左側の情報が左側のプラットフォームという感覚を持つのが普通ではないか?




つまるところ、現状は各列車の発着番線の情報の掲載位置とプラットフォームの位置が合致していないのである。「自分が向かうべき方向」と「掲載位置」が一致していないため、時々戸惑ってしまうことが発生してしまうのだ。


こうした発着番線表示は、設置する場所によって、現状のような表示が良い場合と、相応しくない場合があるはずだ。例えば、駅改札などの表示としては、この写真のような発着番線表示がふさわしいだろう。しかし、「具体的な行動をしなければいけない直前の誘導案内」を目的とする場合は、相応しくないのではないだろうか。


個々以外にも、更に、ひどい場所(関西圏)も過去に遭遇したことがあるので、それは追々ご紹介。。。

2009年10月12日月曜日

情報を持ち帰る!?

こちらは、あるJR駅構内での広告。。

何やら、たくさんの「モノ」が張り付けてある。。






近寄って見ると、そう、ミニサイズの新聞だ。






これは、朝日新聞の広告。JR秋葉原駅での様子。

秋葉原のような乗降客の多い駅構内の広告は、人通りが多いため、一度に大量の露出が見込まれる。しかし、それを見る人は、歩いている。そう、つまり一瞬のうちに、注目をさせて何か引き付けるか覚えてもらうことをしなければならない。今回の手法としては前者だ。


新聞という商品は、既に誰もが知っており、さらにブランドとしても、当たり前のように認知されている。そうしたところで、単なるポスター広告では注目があつまらない。

そこで、今回のような「はがして、持ち帰れる」ギミックを導入することにより、通りすがりの人も、「あっ、何これっ?」と注目するわけだ。


さらに、通常の新聞サイズのミニ版(B5版のサイズを四つ折り)という物珍しさもり、興味本位に持ち帰るという感じだ。


私自身、朝日新聞のこの広告を見るのは、今回は2度目。この他にも、いくつかの広告を最近めにしたことがある。



広告の目的は、原理原則に立ち戻ると、まず「覚えてもらう」「知ってもらう」ことのきっかけ作り。だが最近は、広告の訴求効果が低下しているという話を耳にする。これは、情報の受け手の「広告を見る目」が肥えてしまったこと、そして、あまりにも情報量が増えてしまったことなども影響していると私は思う。

商品自身が汎用化してきている現在、商品自身の差別化が出せない中でも、新しい商品をより多くの人に知ってもらうためには、どこかで注目をさせて、目を向けてもらう必要がある。
ただし、単に印象づけさせるだけの広告では、最終的にその商品の売上に繋げられることはできない。
まず最初の商品自身を知ってもらうところにはじまり、最終的に商品を使用してもらうところまで、情報の受け手の立場で考えられた、一貫した戦略が必要だ。多くの広告戦略が、一部に終始したり、情報の受け手の立場で考えられていなかったりしているのが実情かもしれない。

2009年10月11日日曜日

個人に関する情報は、どこまで合意して利用するか

昨日に続き、CEATECネタで。

数々のブースのなかで、やはり多くの人が訪れていたのが、モバイル系のブース。そのうちの一つのNTTドコモのブース。

こちらのブースを訪問して感じ取ったキーワードが、「GPS」「行動ターゲティング」「AR(拡張現実)」だ。
この3つのキーワードのうち、「AR」については、iPhoneアプリ等での利用で最近話題になっている。

このAR(拡張現実)を簡単に説明すると、現実の環境に、コンピューター等で文字情報、画像情報、動画情報などの付加情報を加えた世界のことをさすと言われている。英文表記では、「Augmented Reality」と記載され、省略して「AR」ということだ。

さて、ドコモのブースで印象に残ったものをいくつか紹介しよう。

■友達レーダー・投げメール
友達レーダーというもので、自分の友達の位置を確認し、その位置の方向に向けて、携帯端末を投げると、メールが届くというコミュニケーションサービス

■直感検索・直感ナビ
カメラで見ている方向に店舗や施設などの実用コンテンツが検索できるのが直感検索。また、端末に映し出された写真風景画像に目的地までのルートが浮かび上がるのが、直感ナビ。




その他にも、画像のような自動でユーザーの状況を推定し、情報内容をパーソナライズして配信するといった技術紹介がされていた。




このように、技術の発展に伴い、GPSとユーザーのコンテンツ利用履歴、さらにその利用内容も定量的なものから定性的なものまでを、複雑に組み合わせることにより、ユーザーのライフスタイルの傾向をつかむことができる。

機能としては便利な反面、自分自身の行動がどこかで監視されるというリスクも生み出す。

自分自身の知らないところで、自分自身に関する情報が生成され、それが他人に使用されることができる時代になっているということだ。

情報を提供(このばあいは、生成)する側、情報を利用する側、双方が納得する形での運用方法を構築しなければならないというのは、自明のことだ。