2009年11月21日土曜日

北海道の大自然の中の、とある高校の教育。。

とある、高校をご紹介。
その高校の名は、北海道おといねっぷ美術工芸高等学校。

北海道の上川支庁、音威子府(おといねっぷ)村にその高校がある。
北海道出身の方でなければ場所が分かりにくいので、先に地図をば。



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音威子府村は、北海道内でも最も人口の少ない自治体である地方公共団体。そんな人口過疎の村にある高校が、テレビのとある番組で紹介されていた。

北海道おといねっぷ美術工芸高等学校


この高校、もともとは普通科の高等学校。年々、生徒数が減っている問題を打開するために、特色を出すためにも、1984年に美術工芸の専門高校に生まれ変わったのだとか。

現在は、入試の倍率は2.6倍。なんと、全国から北海道のこの高校にわざわざ受験に来ているのだ。遠く、沖縄出身の生徒もいる。そうしたこともあり、この学校に通う生徒は、寮生活を送っている。


さて、テレビで授業の風景が紹介されていた。

とある科目の授業。複数の生徒に対して、教師が3名程度。生徒に対して、きめ細かく指導できる。指導スタイルも、生徒に対して、まず「答え」は教えない。教えるのは、ヒントのみ。

生徒自身で、「まず、考える」ということに重きを置いているのだ。つまり、結果ではなく「自分の頭で考えて回答を導く」というプロセス重視のスタイル。

美術展にも、この高校の生徒も数多く出展し、賞を総なめしている。通常、高校の美術出展作品は、その指導教師の考えや思いが反映された作品が多いところ、おといねっぷ高校の生徒の作品は、個性にあふれて、自由な発想で表現されたものが多いとのこと。

たしかに、素晴らしい作品が多かった。まるで写真のような油絵や、すべて色鉛筆のみで書かれた繊細な画風など、目を見張るものばかり。


このおといねっぷ美術工芸高等学校は、北海道の、本来ならば限界集落と呼ばれるような過疎地に存在している。しかし、そこは、自然環境に恵まれ、芸術表現の素材になるような、生徒の感性を刺激するものがたくさん存在している、素晴らしいところでもある。


ビジネスにおいても、新しい事業や商品を育むための自由な発想やイノベーションは、こうした環境とともに、常日頃から「自分で考える」という習慣が大切なのかもしれない。

受験一辺倒の「詰込み型」教育カリキュラムも必要なのかもしれないが、「自ら考え、プロセスを大切にする実践的な教育」というものも、大切にしたいところだ。


最後に豆知識。
この音威子府村。「北海道」の語源「カイドー」という言葉が生まれた地でもあるのだとか。テレビでは紹介していなかったが。。。

2009年11月20日金曜日

ボジョレー・ヌーボー解禁とワインが持つ品格。。。

ボジョレー・ヌーボーが、昨日より解禁となった、今年の出来は・・・?

さて、ボジョレー・ヌーボーを、改めて定義をすると、フランスのブルゴーニュ地方の南部、ボジョレーで生産されたワインのうち、その年に収穫されたブドウ(ガメ種というらしい)で作られた新種の赤ワイン。本来は、その年のブドウの出来具合を確認するものだとか。

毎年、その国の11月の第3木曜日の午前0時から販売が解禁される。

今年は、景気低迷のなかでの消費も落ち込み、そうしたなかで大手スーパー等では、1000円を切るような低価格商品も扱われている。そんな中に、ペットボトルタイプが販売されている。通常のビンに比べて、空輸コストや商品価格が抑えられるメリットがある。

そんなペットボトルワイン。

フランスの生産地の代表者が反対し、波紋を呼んでいる。理由は、伝統や品質保持を問題として反対しているのだ。

メーカー側は、ペットボトルも特別な特許を取っているもので、紫外線加工されているなど、品質をアピールしている。また、軽量なため輸送コストも減らせ、CO2削減にも繋げられるとのこと。


フランスは、伝統と文化を重んじる国。

確かにペットボトルワインは、価格を抑えられ、ワインをより手軽に身近に感じてもらいたいというメーカーの意向も理解できる。

しかし、ワインそのものが持つ歴史や文化、それを感じさせる手に持った時の独特のビンの重み。これは、ペットボトルワインでは恐らく表現出来ないだろう。

生産地の代表者の主張は、恐らく、機械的に無機質に守られている「品質」というよりも、歴史や文化に支えられた有機的な「品格」というものを守りたいということだったのだろう。


ところで、少し前に、「日本人の品格」という書籍が発刊され、その後も「○○の品格」という書籍が数多く出版された。


技術の発展に伴い、効率化・合理化される中でも、機械により数値的な「品質」を維持することは可能だ。しかし、機械で「品格」を維持することは出来ない。あくまでも、「人」だ。

この「品格」という言葉。日本人の心の中に普通にあったものが、最近はどこかに忘れてしまっているのではなかろうか。だからこそ、こうした書籍がブームになったのだろう。

ビジネスにおいても、温もりがある血の通った「品格」を兼ね備えた仕事っぷりを、大切にしたいものだ。

今回のフランスの生産者の代表の言葉で、そんなことを感じたのだった。


2009年11月19日木曜日

女性バリスタ ペネロペ・クルスの温かい微笑み。。。

今日も、関東地方は10℃前後と非常に寒かった。

そんな寒いこの季節に、ちょっと身体を温めるのにはちょうど良いのがHOT缶コーヒー。
缶コーヒーとともに、温かいまなざしでこちらに微笑むペネロペ・クルス。




こちらは、JR山手線渋谷駅外回り新宿方面ホームの先端の今日の風景。
壁一面のペネロペ・クルスが微笑む、ネスカフェの壁面広告。その脇には、ネスカフェブランドのラッピングがされた自動販売機。ここでは、「NESCAFE VENDING SQUARE」として、ホーム先端をジャックした形でブランディング展開が行われている。



今日のような、雨模様の肌寒いときには、どうしても温かい缶コーヒーに目が行ってしまう。

ところで、広告効果というものが、従来に比べて低下しているといわれる昨今ではあるが、そもそも、「広告効果はどこまでを範疇とするべきか議論すべきでは?」と個人的に思っている。

原点に立ち返って、駅構内の屋外広告などは「露出して、まず覚えてもらう」というのが、大前提の目的だろう。であれば、クリエイティヴも、如何に情報量を精査し、シンプルにメッセージを伝えるべきだと私はいつも思っている。

そういう視点で見ると、おおむね、外資系企業の屋外広告は、情報が整理されてシンプルなクリエイティヴで、メッセージ性が高いものが多い。

本来、屋外広告始め交通広告などOOH(Out of House)広告と呼ばれる類のもののクリエイティヴは、伝えたい情報を精査し、メッセージは絞り込むべきだ。

多くの日本のOOHは、表現されるクリエイティヴ内の情報量が非常に多すぎる。これでは、受け手も目を向けてもらえるどころか、無関心にさえなってしまうだろう。

どのようなターゲットに、どういう場所で、どういうタイミングで、何を伝えたいのか。
そう考えると、シンプルなものになるはずだ。

あくまでも、「広告」とは、「広く告げる」ことが目的であり、「広く売る」ことではない。
「広く告げ」覚えてもらうためには、一度に多くの情報を発信することは、かえって効果が薄まってしまうはずである。

長く同じメッセージを露出し情報発信し続けてこそ、「広く告げた結果、頭に刷り込まれ」て、覚えてもらえるのだ。

今日のような、寒い日に、「あの広告の缶コーヒー、ちょっと飲みたいな」と思ってもらえたのなら、それこそ期待通り。渋谷駅のように、その場に販売接点である自動販売機があるのなら、しめたもの。

消費が冷え込んでいる今だからこそ、情報発信のシナリオの設計を、包括的に見直すべきなのかもしれない。

温かい缶コーヒーを片手に、そう思ったのだった。

2009年11月18日水曜日

エスカレーターより、楽しく上り下りする方法

さて、昨日に引き続き、動画ネタで。



こちらは、スウェーデンのストックホルム Odenplan駅の風景。

いつもは、ほとんどの人が階段を利用せず、エスカレーターを利用して上り下り。

ところが、階段をピアノの鍵盤にすると、66%以上の人が階段を利用するようになったとか。

床にあるピアノの鍵盤というと、個人的にトム・ハンクスが主演した映画「Big」のワンシーンを思い出す。主演のトム・ハンクスがピアノの鍵盤を飛び跳ねながら演奏する、おもちゃ屋のワンシーン。実際に、アメリカのサンフランシスコのおもちゃ屋「 FAO Swartz toy store 」には、床にピアノ鍵盤がある。私自身、言わずもがな、演奏してみたことがある。

さて、エスカレーターの話に戻そう。

昨日のBlogにも書いたが、「楽しそう」という衝動がエスカレーターに乗ろうということよりも増すことにより、階段の利用を促しているのだ。

昨日と今日と紹介しているこの動画は、実は、フォルクスワーゲン社がスポンサーの「The Funtheoly.com」というサイトで紹介されている。

Volkswagen The Funtheoly.com

身の回りの行動や、環境、ちょっとしたことを、よりよい方法、より面白い方法で良くしていこうという趣旨で、ユーザーからアイデアを募集しているサイトである。

情報の目利き的にも、社会に何か訴えかけ、行動を喚起させることを目的とした場合の効果を高める一つの考え方だ。

お時間のあるときにでも、ご覧あれ。。

2009年11月17日火曜日

世界一、底が深~~~いゴミ箱があったら。。

まずは、こちらの動画から。。。




もし、世界一、底が深~いこんなゴミ箱があったら、あなたならどうする??

恐らく、とにかく捨てられるものを探し、興味本位でゴミを捨てるのでは?


さて、こちらのゴミ箱、なんと一日で72キロのゴミを集めたのだとか。
これは、近くのゴミ箱に比べて、42キロも多く集めたらしい。


「ゴミをゴミ箱に捨てる」というマナーを守るというのは、当然のことであるが、なかなか守れない人もいるのは事実。多くの人が、悪意があるのではなく、単に面倒だというのが本音だろう。

面倒なことを実行させるためには、人に行動喚起をさせる何らかのことを行わなければならない。

そこで、人に行動を喚起させる場合、「喚起させる」ための情報を、まず伝える。
それは、「依頼」や「お願い」という回りくどく伝えるか、「指示」「命令」といった「棘(トゲ)のある」直接的な方法にならざるを得ない。

しかし、「やらねばならない」「やらされる」から「やってみたい」というモチベーションを変化させる方法もあるのだ。つまり、「驚き」「興味」を喚起させるという視点に変換してしまうのだ。

「ゴミを捨てる」という面倒な行為以上に、「何かゴミを捨てたくなる」面白さが、そもそも面倒なことを消し去ってしまうのだ。

なかなか、ルールの守れない人に対しても、「ゴミ箱へ捨てるのが面倒だ」ということ以上に何かそそられるモチベーションが喚起させられれば、そもそも面倒だという感情も払拭してしまう。
つまり、「やらされる」から、「やってみよう」という感情に変化してしまう。

コミュニケーション自身、相手への伝え方一つで、結果がゴロっと変わることが多々ある。

情報伝達や、マネジメントにおける行動喚起の時にも、コミュニケーションにおける工夫ひとつで、全てが円滑になるヒントが隠されているのかもしれない。

2009年11月16日月曜日

情報とは、「情けに報いる」と書く。。。

東京上野の谷中にある、旅館「澤の屋」がテレビで取り上げられていた。

なんとこの旅館、この不景気のなかで稼働率100%で多くの外国人が宿泊しているらしい。

旅館「澤の屋」

規模も大きくない、家族経営のこの旅館であるが、80カ国、のべ7万5千人を超える外国人が宿泊しているとのことだから驚きだ。

さて、この旅館のご主人である、澤功(さわいさお)氏は、「下町の外国人もてなしカリスマ」として、観光カリスマとしても選ばれている人物。

国土交通省 観光カリスマ


観光カリスマという言葉があることも初めて知ったが、そう呼ばれる所以たるお客様へのおもてなしも素晴らしい。

スイスから観光で来日している家族が、朝食で水族館のことを話していたら、どこの水族館がよくって、今日はどんなショーがあるとかを、詳細に調べて教えてあげたりする。まさに、お客様が欲しい情報の目利きだったりする。
また、日本語がわからないお客様へは、日本語の手書きメモを書いて渡したり、至れり尽くせりだ。

更に、こうした「お客様へのおもてなし」も、ご主人により、きちんと記録を取られているのだ。「どこで柔道着が買える」とか、「どこの店が安い」とかがわかるパンフレット、メモ書きから領収書に至るまで、そうした木目細かい情報がファイリングされている。電話帳数冊分の厚さにもなっているからすごい。これこそ、この旅館のおもてなしナレッジの集大成だ。

外国人客の声も、「いくつもの旅館やホテルを調べたが、ここが最高だ」とか。

困っているお客様の問題を解決してあげたいという「おもてなしの心」が、この旅館のサービスのナレッジを蓄積し、結果として100%稼働率という成果に導いているのだろう。

テレビでは、コメンテーターが「情緒、情報、人情の三拍子が上手く揃っている」とコメントしていた。

確かに「情報」という言葉は、「情けに報いる」と書く。
情報の発信者、受信者ともに、相手を思いやる温かい心があってこそ、それぞれが報われるのだろう。

「情報化社会」というのは、単に通信・電算技術が発展した社会ということではなく、それを使用する人間自身も「お互いを思いやる心」があってこそが、本来の姿なのだろう。

2009年11月15日日曜日

2009 新語・流行語大賞ノミネート発表される。

11月も半ばになると、年末恒例の話題がそろそろ出始める。

今年も、恒例の流行語大賞のノミネートキーワードが発表された。

ユーキャン 2009新語・流行語大賞 ノミネート60ワード

今年の60個のキーワードの中からトップ10が、12月1日夜に決定する。


さて、この60個のノミネートキーワード、情報の目利き的に、インターネットでどれくらいの検索件数がヒットするのかを調べてみると、下のようになったのだ。




こうしてみてみると、ノミネートにヒットするキーワード60個のうちのヒット件数の開きにもかなりの差がある。

私が、今年のノミネートキーワードを知ったときに、「えっ、これが今年の新語・流行語?」と驚いたものがいくつかある。それらの検索のヒット数を見てみると、やはりそれほどの件数が無い。

今度は、Google Insight Search を利用して、検索対象件数ではなく、人気度の高いものを調べてみると、比較的高い結果を出したのは、こちらだった。



時間軸でのトレンドがわかるだろう。

ノミネートリストを詳細に見ると、芸能系のキーワードも、かなり「押し込んだ」感があるかと思う。

ここにノミネートされた芸能人は、その後、目にすることが少なくなるというジンクスもあるらしい。まぁ、情報の目利き的な見方をすると、インパクトのある言葉により、最初は目立ち、話題性が出るけれども、所謂「Buzzword(バズワード)」同じく、時を経て、忘れられてしまうのだ。

キーワードとして、時代のトレンドとして取りざたされるのは良いが、長続きするか否かは、そのキーワードそのものが持つ、中身や質であることは、言うまでもない。