2010年5月8日土曜日

ワークスタイルの変化とともに取り組まねばならないこと

ビジネスマンの外出時におけるインターネット利用に関する現状調査のレポート記事を見つけた。

~ビジネスマンの外出時におけるインターネット利用に関する実態調査~(asahi.com)


これによると、ソーシャルメディアの利用による新たな人との繋がりを持てたという結果や、スマートフォンやモバイルPCとの利用用途の使い分けがされているということ、Wi-Fi環境下でのインターネット利用がまだまだ少ないというような傾向が出ているようだ。


率直な感想として、この調査の結果から、ビジネスマンが外出時に「インターネットを利用する機会」は、以前より増えたようだが、「実際のビジネスシーンとして本格的な活用が出来ているかどうか」という視点では、やや疑問である。


一部の会社では、クラウドを活用しながら外部からでも様々なソフトウェアにアクセスでき、メールの送受信以外の業務をすることが出来る会社もあるのも事実。
しかし、多くの企業では、外部での業務としてはメールの送受信程度で、恐らくそれ以外は、ドキュメント作成等のことしか出来ていないであろう。


私が思うに、会社の業務フローとして、外部での理想的な作業スタイルというものが、まだ現段階では、日本の多くの会社では、試行錯誤しているのが現状ではなかろうかと推察する。

つまり、ネットワーク環境やPC機器等のハード面の整備は行われてきているが、業務自身や社員自身のモチベーション、マインド、セルフマネジメント的なソフト面の整備が遅れていると思われるのである。


特に外部で業務する直行直帰スタイル、在宅スタイルの業務を実施する際に一番重要なのは、本人の自分自身のマネジメントである。自分自身の役割とそれに対する行動。これをきちんとマネジメント出来る意識が必要である。それは、自身が身をもって経験しているから特に感じる。


インフラやハードの準備は整った今、外部で活躍するスタッフを抱える企業が取り組まなければならないことは、業務オペレーションや社員自身のモチベーション管理などのソフト面の整備なのだろう。

2010年5月7日金曜日

「暗闇」の中での新たな発見。。

ここ最近、「暗闇」ブームなのか。。このキーワードを良く耳にするようになった。

「クラヤミ食堂」ってご存知だろうか。
何だか、怪しい雰囲気を醸し出す言葉であるが。。。

この「クラヤミ食堂」とは、「こどもごころ製作所」という団体が主催するプロジェクト。

こどもごころ製作所

こどもごころ製作所は、大手広告代理店博報堂における企業内大学の「構想ラボ」の第一号として活動している団体であり、日本人が本来持っていた豊かな感性を、「こどもごころ」という新しい価値軸で取り戻そうという試み。

そのこどもごころ製作所が、プロデュースしているのが「クラヤミ食堂」というプロジェクト。

クラヤミ食堂

この「クラヤミ食堂」では、目隠しをしてフルコースの料理を楽しむというもの。
視覚以外の感覚器官だけで、食事を楽しみ、隣の見知らぬ人と会話をし、宴を楽しむ。
日頃、気付かない自分のことを知ることが出来るのだとか。


さて、コミュニケーションの考え方の中に「ダイアログ・イン・ザ・ダーク」というものがある。文字通り、暗闇の中の会話である。

ダイアログ・イン・ザ・ダーク



視覚以外の感覚器官で、コミュニケーションを体験するということが、現在注目されている。大手ゼネコンの大成建設など、新入社員研修の中にも、こうした考え方を取り入れられているようだ。

この「ダイアログ・イン・ザ・ダーク」を利用することにより提供される価値は、以下の4つとされている。

  • チームワーク
  • ダイバーシティ(個々人の特性、多様性、豊かさの可能性)
  • 共有体験の創造と信頼関係の醸成
  • 五感の豊かさや視覚障害に対する理解


ところで、私自身、全盲体験は経験したことがある。
日頃、如何に視覚に頼った行動をしているかというのが、その時、身を持って経験した。
この経験は、是非とも多くの方にお勧めしたい。学べることが沢山あるのだ。


「情報を如何に上手く伝えるか」ということを考える際に、普段使い慣れている感覚器官の使用を停止して、それ以外の器官のみで日常生活を送ってみると、また新たな発見をすることがある。

こうした体験も、人材育成の研修のカリキュラムの一つに、是非積極的に入れて見るのも良いのではないだろうか。

2010年5月6日木曜日

上海万博から、日本が学ぶべきこと。

中国で開催されている上海万博。
5月1日の開会から1週間が経とうとしている。

開会当初のオペレーションの混乱はあったものの、順調に滑り出しているらしい。

さて、今回、日本からは、「日本館」「日本産業館」「大阪館」が出展している。

この中の、「日本産業館」について、昨日BSフジ「プライムニュース」にて堺屋太一氏がゲストとして出演し、紹介をしていた。


日本産業館公式WEBサイト


日本産業館の出展テーマは、「日本の創るよい暮らし /Better life from JAPAN」。
先端技術だけでなく、「人々の暮らしを豊かにするためのソフトウェア」の提案なのだとか。

そして、興味を持ったのが、展示・運営コンセプト。
それは、「きれイ、かわいイ、きもちいイ」というもの。(これを「J感覚」というのだとか)。

「綺麗」「可愛い」「気持ち良い」というのは、既に世界語にもなっているらしく、国境を超え、世界の人たちにも広まっている言葉。

この言葉の概念を、日本の文化様式とともに、世界の人にアピールするのだとか。

確かに、「綺麗」「可愛い」というのは、日本のPOPカルチャーを代表として世界に広まっているのも事実。日本の「おもてなし」サービスも、受ける側として「気持ち良い」ものとして評価されている。


パビリオンでは、たこやきから抹茶味・醤油味のアイスクリームの販売といったものから、旬の食材を活かした本格的な懐石料理を高級料亭まで、幅広い「食」文化の紹介もされている。

また、世界一と称される日本の最新トイレも紹介。
日本の文化的背景から技術的知識まできちんと教育された「トイレ博士」なるガイドを採用し、紹介するという力の入れよう。


さて、そんな堺屋太一氏によるパビリオンの紹介とともに、日本と海外のパビリオンの違いにも触れていた。

それは、「パビリオンの作り方」の違い。
先進国、特に欧米各国などは「映像表現」「演出」などへのこだわりがあるのに対して、日本は、「商品そのもの」へのこだわりをしているとのこと。


堺屋氏が懸念しているのは、欧米先進国がこうした「知識ベース」の工程を重視する一方、新興国が、「モノ作りベース」の工程を重視し始めてきているという点。中国や東南アジア諸国自身が、「モノを作る」ということの技術を高めてきていることの表れでもある。堺屋氏は、「ものづくり」から「知恵づくり」への転換をしなければならないと提言。

さらに、その原因は現在の官僚制度にあるとも指摘。

私個人としては、確かに官僚的発想の風土もあるかもしれないが、「見えないもの」に対する評価、対価の考え方が、未熟ではないかと思われる。
日本のアーティストや、科学者が日本で評価されず、海外で評価され、初めて日本でも追随して評価されるという点に顕著にあらわれているのではないだろうか。


事実、IT、プロモーションの仕事していても、同様に、「企画」「デザイン」「設計」「マーケティング」というものに対しての「無形」の「資産」に対しての対価は、中々認める企業は希少であると感じている。

「意匠」や「特許」なども同様だ。

小売・流通における「サービス」についても、チップ制度のある国々と比較してもわかるように、日本では「サービス=無料」という感覚が染みついてしまっている。

「無形」の資産に対する評価。
そろそろ、日本も真剣に考えなければならいのではということのようだ。

2010年5月5日水曜日

「ゴールデンウィーク」と「大型連休」。その違いは?

今日は、5月5日子供の日。
今日で、今年のゴールデンウィークが終了する。
(明日、明後日、お休みの人は、あともう少しあるけれども…)。

今年は、天気も良く非常に多くの人が行楽地等で過ごしたようだ。

さて、このゴールデンウィーク。
ニュースの記事の表現として、メディアによって異なっているのをご存じだろうか?

NHKや一部の民放、新聞社では、「ゴールデンウィーク」と表記せず、「大型連休」という表現をしている。


実は、この「ゴールデンウィーク」という表現は、国や行政が定めた表現ではなく、昭和26年、当時の映画会社の大映の専務によって作られた業界用語なのだ。

当時に上映された『自由学校』(獅子文六原作)という映画が、大映創業以来の最高の売上を記録し、この時期は多くの観客動員を生み出し映画の上映活性化を目的として作られたのだそうだ。


ところで、「業界用語」と言われるものは、そもそも同じ職業の集団や詳しい人たちの間で用いられるもの。

警察、医療、芸能・メディア、政治、金融、製造、鉄道、パチンコ、麻雀、極道等など。
いくつかの業界用語も、多数の人によって一般的になっているものもある。

ホウレンソウ(製造)、鴨(麻雀)、ブタ箱(警察)、ムショ(警察)、ガセネタ(警察、メディア)、スベる(メディア)、ダメ出し(メディア)など等。


こうした業界用語。
業界内で使用することを前提として、「他人に聞かれたくない」「内輪だけで」という目的で使用されているもの。略語や隠語になっているものが多いのも、そのためだ。

企業だけに特化した、企業用語というものもあるだろう。

業界用語ではないが、IT関連やマーケティング分野においても、専門用語は多数存在する。

こうした専門用語も、その分野を専門としていない人に対しては、意思疎通を図る場合、使用することを避けるべき。もしくは、使用する場合は、その言葉の意味を、きちんと説明を添えて使うべきである。


ビジネスにおいて、業界用語や専門用語を使う場面は、日々発生する。
しかし、コミュニケーションを行う相手によって、その使い方は都度考えて、言葉を選ぶ配慮を忘れてはならない。

2010年5月4日火曜日

「期待」と「満足」の方程式

顧客満足を考える上で、「満足の方程式」というものがあるのをご存じだろうか。

顧客の「期待」に対して、どのようなサービスを提供するかで、満足と不満足が決まるというもの。

具体的には、このような感じである。

まず、
【顧客の「期待」値】=【サービスを受けた結果】⇒【普通(当たり前)】
「期待値」と「結果」が同等レベルの場合は、顧客にとっては、ごく当然の内容で何も評価には繋がらない。対価相当というイメージでもある。

次に
【顧客の「期待」値】<【サービスを受けた結果】⇒【満足】
「期待値」に対して「結果」が上回る場合、顧客は、サービスに対して満足と感じてもらえる。

更に、
【顧客の「期待」値】≪【サービスを受けた結果】⇒【感動】
さらに、「期待値」に対して「結果」が非常に大きく上回る場合、顧客はサービスに対して感動するというもの。接客シーンでの感動ストーリーとして紹介されるのは、こうした方程式に当てはまる。


さて、これが逆になると、当然「顧客不満足」に繋がる。
【顧客の「期待」値】>【サービスを受けた結果】⇒【不満足】
この方程式は、サービス業や接客業だけでなく、普段の生活などでも多くのシーンで取り入れることは出来る。


本日、米軍普天間移設問題で、鳩山首相が沖縄を訪問。
「国外移設、少なくとも県外移設」をスローガンに取り組んできたが、結果として「県内移設」にならざるを得ない状況に直面している。

昨年の総選挙の時点で、沖縄県民は、上記のスローガンに対して「期待値」は更に上がってしまった。現在、その「期待値」と全く逆の方向に進もうとしている。「不満足」のパワーが増大するのも当然である。

これこそ、「不満足」の方程式を顕著に表わしている。

普段の我々の生活でも、「口頭」では、大風呂敷を広げてしまって、実際にはそこまで出来ない結果を招いて、急に小さくなってしまう人もいる。たちの悪い場合、姿を消して逃げ出してしまう人さえいる。その人に対する「信用」も、自ずと失ってしまう。


「期待」と「満足」の関係。

実際に自分の出来ることを、背伸びせず、等身大で、相手の立場に立って正直に伝えること。
そこから、少しずつ相互の信頼関係が生まれるのだと私は思う。

2010年5月3日月曜日

「すぐやる」行政サービス

とある地方行政でユニークなサービスを実行している所がある。
その名も、「すぐやる課」。

直近の事例では、葛飾区の取り組み。

葛飾区「すぐやる担当課」

この葛飾区の「すぐやる担当課」は今年の4月に新設されたもの。
この行政サービスは、葛飾区青木区長が掲げる「区役所改革」の一環。
行政サービスを効率化させ、サービス対応のスピードアップを図るとともに、区民から情報を寄せてもらうことにより、行政側の業務も効率化することを狙ったもの。

開設後、区民からの相談が殺到して大活躍なのだとか。

具体的には、柴又の観光地付近の売店からハチの巣の撤去の依頼があったり、交通の障害になる放置ダンプカーの移動の要請など様々。


この「すぐやる」という行政サービスは、先行して世田谷区等でも実施されているが、遡るところ、千葉県の松戸市で1969年に行われたのが最初である。
ちなみに、当時の市長は、あのドラッグストア「マツモトキヨシ」の創業者、松本清氏が在任中に実施したのだ。この行政サービスは、「市民に役立つ所、市民にとって役に立つ人がいる所」をモットーに、日本初の即応部門を設置したのだ。

海外でも、同様のコンセプトで、カリフォルニア州でTwitterを活用して、市民からの相談を受け付けるなどのユニークな取り組みも始まっている。

さて、この「すぐやる」行政サービスを、情報マネジメントの視点で見て見ると、如何に現場から情報が「集まる」仕組みが構築できると、効率化に繋がるということ。

企業においても、現場の情報を集めるというのは、中々難しい。
まして、「わざわざ情報を集める」ことを行うのには、費用も時間もかかる。

一番効率のよい方法は、現場から自然に「集まる」仕組みを構築すること。

企業にとっても、お客様からの情報が集まる仕組みを構築することはもちろん、現場の第一線で活躍する営業部門、サービス部門、ライン部門等から、会社に情報が集まる仕組みが必要だ。決して、「集める」仕組みであってはならない。


「業務命令による情報収集」「義務的な情報の提出」を強制すると、そこに集まる情報は、一部の恣意的に集められたものになってしまう恐れがあるのだ。
「会社を良くしたい」「会社のためにも、自分のためにも情報を会社に蓄積させよう」という機運、風土、そして、評価制度の確立が必要である。

特に、会社にとって積極的に集めるべきものは、失敗情報・苦情情報やそれに繋がりそうなヒアリハット、小さな火種情報など。

こうしたものは、上述の会社自身の環境、風土により、覆い隠されてしまう。
そして、放置されることにより、重大な事故、更には会社の存続に関わる事態を招くことにもなりうるのだ。


ビジネスにおける情報が「集まる」仕組み。
人の意識、会社の環境、ツールなどの工夫、それぞれを上手く活用して体制を構築したいものだ。

2010年5月2日日曜日

「失敗学」から学ぶ

GW中盤に差し掛かった。
さて、今年はGWを利用して、いくつか書籍を読破を予定。

その中の書籍の中で、「失敗学」というものから、気になたものを一つ。

そもそも失敗学とは、発生してしまった失敗について、直接的と根幹原因を究明する学問とされている。物理的な原因、ヒューマンエラー、環境的な要因、組織的な要因などを責任追及のみに終始せずに究明するのだ。


こうした失敗から様々なことを学び、同じ過ちを繰り返さないようにするのにはどうしたら良いかというのを究明するのだが、そこで、一つの考え方があるのだ。

それは、「局所最適が、全体最悪をもたらす」という考え方。

限られた一部しか見えてない人が、良いと思ってした取り組みが、全体的に俯瞰して見た場合に帰って悪い結果をもたらすことがあるというのだ。


例えば、現場で良かれと思った業務改善が、会社全体でみた場合には、かえって手間が発生したり、全体的には改善されておらず悪化してしまっていたりと。具体的に良くあるのが、コピーの裏紙。経費削減ということで、裏紙の使用を奨励したものの、実は、紙詰まりを発生したり、コピー機自身を故障させてしまい、その費用がかえってかかってしまうというものなど。

世の中には、実際に、局所最適を行ったことにより人命にかかわる事故にまで発展してしまったものもある。1999年に発生した東海村の原子力発電の臨界事故がそうだ。


さて、今の日本の政治も同じような動きになっていないかと非常に心配になったりする。例えば、普天間基地の問題、事業仕分けの問題、子供手当の問題などなど。


全体的に俯瞰して、結果としてより良くするための方策を生み出すためには、その原因と結果に絡み合う部分を局所的に見るだけでなく、様々な角度で考察し分析する必要がある。

そのためには、あらゆる情報を見るときに、様々な視点で見る習慣を常日頃からつける必要がある。そして、その効果を短期的な視点で見るのではなく、中長期的な視点で効果検証をする視点も忘れてはならない。