2010年6月5日土曜日

「情報」の発信主を見極めるということ

昨日、民主党の菅首相が誕生した。

この新しい代表の登場と時を同じくして、登場したものがある。

「あぁ~、やはり出現したな」と思った、下記のニュース。

新首相なりすまし頻発、ツイッターやらないのに(YOMIURI ONLINE)
やっぱり現れた ニセ「菅直人」、ツイッターに続々(asahi.com)
「菅さんはつぶやいていません」 菅新首相名のツイッター書き込み頻発で民主党(産経ニュース)
菅氏になりすましツイッター=民主が注意喚起の文書(時事.com)
菅首相:ツイッターなりすまし登場(毎日jp)


菅代表をなりすましたツイッターのアカウントが登場したとのことだ。
民主党は、これらに注意喚起を出している。

そして、もうひとつ時を同じくして流れたニュースで気になったものが、こちら。


「農水相が外遊先でゴルフ」と報道、TBSが関係者処分(asahi.com)
赤松農相報道、TBS政治部長ら4人懲戒処分(YOMIURI ONLINE)
「農水相ゴルフ」報道で処分 TBS(産経ニュース)
「農水相がゴルフ」報道で処分=TBS(時事.com)
TBS:裏付け取材不十分と謝罪 赤松農相のゴルフ報道で(毎日jp)

赤松農相“出張ゴルフ”誤報はTBSだけの問題じゃない(@nifty ニュース)


口蹄疫問題の所轄官庁の代表に関する報道に関するもの。

こちらは、情報の深層についてインターネット上ではかなり盛り上がっている。

さて、この2つのトピックで共通するものは、「情報の真贋」である。


今、我々の生活では、過去に比べて莫大な情報が流れている。
そして、今まで以上に、様々な方法で情報を収集することが出来るようになった。
一方で、情報の発信も、手軽に、身近に出来るようになった。
だからこそ、情報量がかつてなく増えてくるのだ。

そこで、大切になるのが、情報そのものの「本質」を見極める力が重要となる。

上記2つのトピックも、いろんなメディアの取り上げ方をピックアップしてみた。
個々のトピックに対して、報じる姿勢の違いがあることもわかる。


私自身は、メディア自身が報じる姿勢はあっても良いと思う。
(姿勢そのものの、「質」には、やや問題あることもあるが…)

逆に、情報を受け取る側が、「そうしたメディアには報じる姿勢があるということ」を予め理解したうえで、対応することも重要だと思う。

情報を受け取る側こそ、しっかりとした情報に対する「目利き」をすることにより、メディア自身も、自ずと自然淘汰されるのだ。

2010年6月4日金曜日

初めの一歩は、役割分担から。

今日、新たな日本の代表となる人物が決まった。
民主党の新たな菅代表。

新たな政権の組閣がこれから始まる。組閣は、8日になる見込み。


さて、新たな組閣人事に対して、菅代表のコメントとして、「官邸、内閣、党の一体性、そして全員が参加できる」組織をとコメントしていた。


新たなプロジェクトを開始するにあたり、その第一歩の重要事項は、組織作り、チーム作りである。

個々の役割として、どのように分担し、個々のミッション、責任範囲、そしてゴールに向けたビジョンとマイルストーンの共有を明確にしなければならない。


ITのシステムを構築する際にも、こうしたプロジェクトチーム作りは非常に重要である。特に不明確になりやすいのが、発注側と受託側との役割分担。

この役割分担が不明確で、「お見合い状態」を招くことがあるのだ。

「当然、相手はそう思っているだろう」と考えていたことが、後々になって、全く考えが違っていたということが、まま発生する。


そうした意見の相違、思いの相違などが、プロジェクト進捗の遅れ、コミュニケーションのもつれなどにも影響する。


プロジェクトの初めの第一歩。

そこでの役割分担を明確にするためには、まずはお互いをきちんと知るということ。

何が得意で何が不得意か。お互いの強み、弱み、そして双方で取りきめた責任範囲を明確にすることが大切である。


そして、プロジェクトのメンバーそれぞれに、プロジェクトのゴール、ミッション、タスクを共有しつつ、皆が協力し合える「一体感」の場を構築できるかどうかが、プロジェクトを成功に導けられるかどうかに繋がる。


次週の新しい組閣人事。
「一体感」を持たせることができるチームが発表されるか、興味深いところだ。

2010年6月3日木曜日

「DPI」広告の是非。。

DPIという言葉をご存じだろうか。

ディープ・パケット・インスペクションの略であるが、これは、インターネット上でユーザーの行動記録をプロバイダーがすべて読み取る技術のことだ。

この技術を使って、そのデータをベースに広告配信に使おうという動きが現在あるのだ。
インターネットでどのようなサイトを閲覧したのか、すべてプロバイダーで記録されるこの技術の利用に対して、先日、総務省が容認をしたとの報道。

「ネット全履歴もとに広告」総務省容認 課題は流出対策


さて、このニュースを聞いて驚いていたところ、

DPI広告の容認「結論出したわけでない」 原口総務相


との本日の報道。

欧米でもまだ、この取り組みに対して否定的なところにこのようなニュースが報道されて、あわてて火消しをしたのであろうか。。


インターネットだけでなく、日常生活において、我々の行動の履歴は、様々な形で情報として蓄積されている。

スーパーでの買い物も、POSデータと会員カードで紐づけされて管理されている。
首都圏のJRで利用されているSuicaや私鉄のPasmo、マイレージカードやポイントカードなど、多くの行動データが蓄積されている。

こうした情報は、企業にとってマーケティング分析を行う上で非常に貴重なデータである一方、扱い方を間違えると、とても甚大な事故や事件にも繋がる。


消費者の行動履歴データである、この「ライフログ」。
特に取り扱う際に気をつけなければならないのが、まず、個人を特定する情報を取得するのかしないのか。

一つのデータ単体としては個人を特定できなくても、組み合わせることで個人を特定できる場合は、要注意。

そして、個人情報として収集する際には、情報提供者に対しての事前の目的の開示と同意が必要になる。

また、情報を取り扱う企業側で、事件や事故が起きるのは、ほとんど「人」に起因することが多い。そして、悪意のある人間による事件が多数発生しているのも実情だ。


さて、今回の総務省の取り組み。

プロバイダーという立場は、技術的には、どのような情報でも見ようと思えば見れる立場。
パブリックなインフラである立場の存在で、このような個人のライフログを収集して何かを行おうとする取り組みは、非常に様々な意味でリスクを高めることになりかねない。

かつては、性善説に則った思想での仕組みの構築でも問題も無い古き良き時代もあったかもしれないが、今はそうは言ってられない。

様々な観点からのリスクを、じっくりと考えてもらいたいものだ。

2010年6月2日水曜日

首相辞任劇。。

今日は、何と言っても、鳩山首相退陣のニュースを取り上げて見たい。
(本当は、あまりここで政治をテーマにはしたくないのだが…)。

このニュースを耳にしたのが、朝一番の打ち合わせの直前のTwitterでのニュースの第一報。
「あ~ぁ、とうとう。。」というのが第一印象。

昨秋の民主党の大圧勝については、個人的に、少し引いてみていた。
「これほどまで、圧勝するとは・・・。大丈夫か・・・。」というのが本音だったからだ。
だからこそ、「恐らく、様々な問題を抱えるだろうな」と当初から思っていた。

鳩山首相の昨秋の所信表明演説で、「慣れないことも多々あり、未熟で、至らぬところがあるだろうけれども、温かく見守って欲しい」というようなことを言っていたのが、今でも忘れられない。


さて、昨秋の大圧勝について。
本当に有権者が、日本の将来のことを真剣に考えた上での結果だったのだろうかと、未だに疑問に思っている。
ただ単に、「マスコミの報道や、雰囲気に流された」のではなかろうか、と。。。
どれほどの有権者が、マニフェストを端から目を通し、不明なものは、議員本人に問うてみるということをしているだろうか。

ほとんどの人が、テレビ等の報道を見て、「なんとなく」というのが正直なところではないだろうか。


先日、6月2日号のNewsweek誌に、「日本を殺すスキャンダル狂い」と題する論評があった。

日本の政治に対して、「真の問題はリーダーシップの欠如ではなく、些細な醜聞に熱狂する社会だ」というもの。

先進国の政界では、スキャンダルは良くあることで、大抵の場合、政治生命を失うこともなく、政権も失うこともないと海外の例を紹介。アメリカのビル・クリントン大統領も2期を満了、フランスのサルコジ大統領も今尚健在と紹介。日本の論調は、実績に目を向けずスキャンダルなどの本質以外ばかりに躍起になっていると指摘。

確かに。
個人的には、日本のマスコミ自身がそうした論調を好んでいるように思える。

こんなにリーダーが、ころころと変わる国は、海外では無い。
今日のCNNの第一報も、「世界第2位の大国のリーダーが、回転ドアのようにころころ変わる。重要な問題を議論できない」と皮肉を交えて報道。

歴代の総理大臣の任期を調べて見ると、小泉内閣を除き、森内閣、安倍内閣、福田内閣、麻生内閣、と、ほぼ1年程度で各内閣は交代している。


森内閣が、ちょうど2000年~2001年、インターネットが普及し始めたころ。
このころから、次の小泉内閣以外は、1年足らずでの交代が目白押しになっている。
強烈な個性がないと、続かないということか。やはり、インターネットの台頭も少しは関係しているのだろうか。

この次の内閣も、1年程度になるのではなかろうか。

ところで、今回の辞任劇、「このままでは総選挙に勝てない」というのが背景にあるらしい。

総選挙になって喜ぶのは、実は新聞社やテレビ局などの大手メディアだ。「総選挙特需」と言われるぐらい、総選挙になると広告収入が増大するらしい。

なんだか、本質的なところでの議論が全く出来ていない気がしてならない。

まるで、「ワイドショー型政治」「タブロイド型報道」になってしまっているのではないだろうか。

今晩のニュース報道も、「次の代表は誰?」「親指を立てた理由は?」「いつ心境の変化があったか?」といったものばかり。審議中の法案への影響、外交への影響、経済への影響、国民の生活への影響等など、もっと報道すべきことも多々あるはずなのに。数日前の中国の温家宝首相の対談は何だったのか等なども。。。


国民も、本質をきちんと見極めて、本質を問う姿勢が大事だ。
そして、「他人に依存」するのではなく、自らが意識を持って意見を持つこと。

リーダーを取り巻く政治家から、メディア、そして国民一人一人が、他人のせいにして、批判ばかりするのではなく、もっと「主体的」になり、真剣に考えるという姿勢を持つべきなのでは?

2010年6月1日火曜日

「ダメだし」から、新たな発見を導き出す。。。

今朝、NHKの朝のニュースで、元気のある地方の商店街を紹介していた。

その商店街とは、千葉市内にある「稲毛せんげん通り商店街」。


ここでは、この商店街にある店でしか買えない「逸品」を開発し、ヒット商品を連発。

そもそも、稲毛せんげん通り商店街は、千葉県でも一番古い商店街。最盛期は120軒ものお店が軒を連ねていたらしいが、全国の商店街同様、大型スーパーなどの進出により活気が一度は失ってしまっていたとのことだ。

そこで商店街を活性化させるために、「いなげ逸品」という企画を立案。
お店が自慢の商品を一品選び、お客様へのおススメ商品として販売促進するというもの。
さて、このプロジェクトにおける商品開発のプロセスがユニーク。

販売促進する商品は、お店ごとに勝手に決めるのではなく、お互いが商品を持ち寄り、厳しい意見をぶつけ合う。さらに商品だけでなく、店舗の陳列に至るまで厳しい指摘をするのである。そこでは、「無礼講」が大原則で、徹底的にダメだしをするのだそうだ。

「いなげ逸品」


そんな甲斐あってか、今では商店街の活気も取り戻し、客足も増えているのだとか。
こうした取り組みが評価され、中小企業庁の「がんばる商店街77選」にも選ばれている。

中小企業庁 『新・がんばる商店街77選』


さて、こうした「ダメだし」。
確かに、言われる方は非常に辛いが、組織や立場の違う人からの「ダメだし」は、そこに新たなヒントが隠されている。

同じ組織や風土でずっとそこに身を置いていると、発想や視点が凝り固まったものになってしまう。そういう意味でも、「ダメだし」は非常に有益な情報源になるのだ。


政治にしても、組織にしても、「縦割り」による組織の硬直化は、どうしても起きてしまう。そういう意味でも、定期的な新陳代謝を促進するような取り組みは必要であろう。


国の事業仕分けにしろ、小売・流通業における「お客様の声」の収集や「覆面調査」にしろ、「違う視点」による新たな発見のきっかけ作りでもある(事業仕分けは少なくともそうして欲しい)。

自社、自部署、自分。。。
自らを軸にして考えていると中々気付かないことが、他人の目などにより、意外に新たに気付くことは多いと思う。

2010年5月31日月曜日

世界禁煙デーに、タバコの功罪を考えてみる。

今日は5月31日。とある記念日。

実は、今日は世界禁煙デーだそうだ。
世界保健機関が制定し、禁煙を世界的に推進しようと決められたもの。

日本では、今日5月31日から6月6日までの1週間が禁煙週間なのだとか。

喫煙場所の撤去や、受動喫煙の検診などのイベントが国内各地で開催されている。
メディアもそれらを報道している中で、ひと際目を引いたのが、インドネシアの喫煙の様子。喫煙しているのは、なんと2歳の幼児。大人顔負けの恰好でタバコを燻らす姿が、何とも生意気に映しだされていた。
インドネシアでは、タバコの喫煙に関する年齢制限が無いらしい。
子供の発育に影響があるのは当然考えられるが、周囲の大人が、どう考えているのか聞いてみたいものだ。


さて、近年、日本国内も喫煙出来る場所が、随分減った。
ビル一棟が全面禁煙、全列車全面禁煙が当たり前の所が、かなり増えた。

このようにタバコの喫煙場所が減ったと同時に、企業の中で減ったと言われているものがある。実は、「社内コミュニケーション」。

タバコを喫煙する際には、ちょっとリラックスする。
そのリラックスした雰囲気では、日頃張り詰めた中で言い出せないこと、愚痴、悩み、相談事など、業務に関わるコミュニケーションが、結構行われやすいのだ。
所謂、「タバコミュニケーション」と言われるもの。


タバコに限らず、仕事仲間同士での「呑み二ケーション」も、過去に比べると減っている。福利厚生の見直しで、「社員旅行」という言葉も随分耳にしなくなった。
一方で、電子メールの台頭により、社内でのごく普通のフェイス・トゥ・フェイスのコミュニケーションすら減ってしまっているのが、今の多くの職場の現状だ。
一部のIT系企業では、となり同士で座る社員間のコミュニケーションも、チャットやメールでコミュニケーションする始末だ。


私自身は、タバコは吸わないが、このコミュニケーションの場が減ってしまうことに関しては非常に危惧している。


欧米の職場は、個々人がパーティションで区切られ、職域も明確に権限と責任が明確になった雇用形態となっている。

一方の日本の職場は、「島」と呼ばれる「チーム」型、「家族的」な「わいがや」がベース。
雇用スタイルも、1人1人の職域や権限と責任が、欧米と比べて契約書として明確になっているわけでもないのが多数派だ。マネジメントスタイルも欧米とはかなり異なる。

そうした職場で、「個」が独立した形での職場環境に慣れていない日本で、コミュニケーションの場が減ってしまうことは、非常に競争力を落としかねない要因の一つになるのではなかろうかと考えている。


バブルごろから導入された欧米型の「成果主義」ベースの人事評価の見直しが叫ばれている。


終身雇用が崩壊し、年功序列等に対する批判など、従来の日本的経営に対して、バブル以降批判の的になってきた。

私は、こうした変革の時代だからこそ、「日本が培ってきた、日本人らしい本来の良さ」というものをもう一度見直しても良い時期なのではないかと思ったりする。

そして、その良さを、より多くの海外にアピールしても良いのではないかと。。
日本企業がガラパゴス化してしまう前に。。

タバコが及ぼす身体に悪い側面以外にも、職場環境が変化することによる、目に見えない影響力を、違う視点で考えて見ることもたまには必要ではなかろうか。

2010年5月30日日曜日

たかが質問、されど質問。。。

日曜日にテレビを見ていてよく見かけるCMで気になるものが一つある。
第一生命のCM「幸せの道 おとうと」編だ。

第一生命 CM


まずは、簡単なストーリーを。

とある小学校での授業風景。
自分たちの将来の「夢」を発表しましょうという授業。

そこで1人の男の子が先生にあてられて、他の生徒は、職業などを答えるなかでこう答える。
「キャッチボール」。

先生やクラスメートは不思議がる。先生は、
「野球選手になりたいのかなぁ?」と質問。

けれども、男の子は、かたくなに「キャッチボール」と。。。

CMのシーンは、学校が終わり、一目散に男の子が駆け出す。
駆け付けた先は、病院に入院しているお母さんのいる所。
どうやら、弟が生まれたようだ。

そう、男の子は、この弟とキャッチボールをしたかったのだ。

さて、私がこのCMで気になったのが、先生の男の子に対する質問の仕方。

初めから答えを決め付けたような質問の仕方。
あたかも、「野球選手」という言葉を知らないかのように、その質問に対する男の子の回答を決め付けているような印象を受けたのだ。


CMでは、そこまで考えていないかもしれないが、多くの学校でもこうしたスタイルでのやり取りは多くあるのではないだろうか。

私自身、高校の英語の文法の時間で、正解を一つに絞ろうとする先生の方針に、いつも疑問を持っていたことを思い出す。言葉なのだから、色々な表現があっていいはずだ、と。


コミュニケーションにおいて、「質問」の仕方によって、その場の雰囲気も左右するだけでなく、そのあとのコミュニケーションの内容が膨らむかということにも影響する。


質問の手法の中に「クローズドクエスチョン」と「オープンクエスチョン」という考え方がある。

前者は、「Yes、No」で回答を求めるもの。後者が「5W1H」で回答を求めるものだ。

CMの先生は、男の子に対して「野球選手?」とクローズドクエスチョンに落とし込んでいる。これでは、男の子の考えていることが分からない。

本来ならば、「どうしてキャッチボールが夢なの?」と聞くべきだろう。
そこで、はじめて「弟とキャッチボールしたい」=「夢」と気付くはずだ。

同じように業務マネジメントでも上手く使い分けることが必要だ。

相手がどのように思っているか、どうしたいのか、上手く聞き出すためには、勿論後者のオープンクエスチョンを上手く取り入れることが一つのテクニックになる。