2009年11月24日火曜日

「買う」という行為における目利きとは。。

最近、ちょっと気になっているのが、「商品を買う」という行為そのものについて。


世の中なんでも便利になり、財布の中身は寂しいと言いつつも、モノは豊かな国の日本。

様々なサービスのレベルも、世界的にも恐らく最高水準のレベルだろう。

そうした環境に馴染んでしまった影響か、自分たちが買い物をする際の「商品を見極める力」そのものが、衰え始めているのではないかととも感じることがある。


以前は、野菜や果物を一つを買うにしても、根っこの部分を見たり、色合いを見たりして、「目利き」していた。食べられるか食べられないかを見極めるには、臭いをかいだり、触ってみて試してみたりする。しかし、今では、賞味期限や内容物表示などで判断し、その内容に関して、特段知識を付けず、「上っ面」だけで評価をしているのではなかろうかと危惧したりする。そんな中で、悪徳企業による食品偽装なんかの問題も起きたりする。


ビジネスにおける「買い物」も、同じような懸念を持っている。
特に、「システムの発注」ということに関してだ。

長年、システムの開発などの畑にいると、時々そうした現場に出くわすことがある。

システム開発における問題の多くが、突き詰めると、買い物をする側が、どういうものが欲しいのか、実はよく分かっていないということがあるのだ。

と同時に、どういうものが欲しいのか聞き出せていない、「プロ」としての受注側の問題もある。

システム導入は、多くの場合、自社の既存業務を効率化・合理化するために導入することが多い。その際、既存業務が、実際にはどのような内容で、どういうところに課題があり、どうしなければならないのか、というようなことを明確にしなければならない。

そうした、根本的な部分を蔑にして、「見栄え」「見た目」といった「上っ面」部分にばかりに、時間や労力をかけて、実際に基盤となる部分をおろそかにしてしまうことが多い。

理由は簡単で、「良く分からないから、任せる」と。。

建物を例にするとわかりやすい。

建物は、土地があり、土台や骨組みの基礎があり、間取りが作られ、最後に外装・内装・インテリアと決定していく。それぞれ、ステップがある。

住居用なのか商用なのか、そうした目的を明確にしたうえで、それに合致した土地選定に続く。

そして、全体像を設計し、構造設計から開始し、基礎から構築していく。建物の耐震などは、まさにこの基礎構造に左右される。住宅を購入する際に、こうした基礎構造もしっかりとチェックする必要がある。複雑で専門的な構造設計は、避けては通れない。

話をシステムに戻そう。

システムの発注の際にも、まず、どのような目的かを明確にしなければならない。ここから、よくぶれることが多々あるのだ。

「どのような目的があり、それをどうしたいか」という明確な「ビジョン」、「方向性」、「考え」があれば、システムの知識を持たずとも、きちんとしたシステム会社であれば、大抵、プロとしての解決策をきちんと明示するはずである。

システム開発プロジェクトを、円滑に発注し完了させるためにも、こうした「発注側のビジョン」と、それに対する解決策に対する厳しい「目利き」する目も必要だ。


スーパーや量販店、ディスカウントストアといった、世の中の値引き合戦が激しくなるここ数カ月。
価格ばかりに目を向けるのではなく、自分がその商品を買わなければならない理由を明確にしたうえで、その商品の「質」も、きちんと「自身の目で測れる」物差しを持つべきだと、つくづく思う今日この頃である。