本日、大手化粧品メーカー資生堂の歴代CMを集めたDVDが、エイベックスから発売された。
数日前から、テレビ等で話題になっていた。
DVDの内容は、1961年から1979年にオンエアされたもの。1978年から1999年バージョンは、12月16日リリースの予定だとか。
発売前から各種メディアで取り上げられ、amazonのチャートでも上位を獲得している。
ところで、こうした、過去のCMと比較して最近のCMに思うことは、頭の中に残らないものが非常に多い。
70年代80年代に比べて、CMそのものの長さ(尺)が短くなっており、伝えられる情報量に制限が出てきていることもあるかもしれないが、総じて、奇をてらいすぎて、何を伝えたかったのか、そもそも何のCMだったのか分からないものが非常に多く感じられる。
最近は5秒CMもあり、そもそも15秒枠に、「5秒CM」「放送局番組宣伝」「5秒CM」となんともせわしないものも放映されている。
広告効果の減少が言われている昨今、テレビCMは過渡期に差し掛かっているのだろう。しかし、インターネット広告が台頭してきている中でも、やはり、テレビCMの持つ強みというものは、相変わらず存在していると私は思っている。
その強みとは、「一度に多くの人に、知らせる機会を潜在的に持っている」ということ。
これは、「マス(=大衆)」という視点では、他のメディアより訴求力は群を抜いているはずだ。
しかし、広告効果の減少しているのも事実。これは、情報の受け手が、情報そのものを受け取る手段が従来より増えたこと、更に、「テレビよりも魅力のある情報収集ツール」というものが出現したことによるものだ。
テレビのCMの効果を、過去のように少しでも上げるのであれば、まず、「テレビというメディアそのものが、魅力ある情報収集ツール」にならなければならない。これは、テレビ局の番組作りの問題だ。
そして、その合間に流れるCMも、CG合成処理やタレントに依存するのではなく、しっかりしたコンセプト、脚本とメッセージ性を重視すべきなのだろう。また、今のCMの枠の考え方も本当に良いのか等も考える時期なのかもしれない。
最近は、そうしたこともあるのか、テレビ局側がCM作りに参加したり、番組内容に連動したCMや、CG合成処理といったものを一切行わず、数年前のコンセプトをもう一度リバイバルで利用しているCMも放映されている。
しかし、残念ながら番組作りそのものは、新しい魅力を創出するために、何か取り組んでいるようには思えない。
以前のようなCM効果は期待できないかもしれないが、少なくとも「テレビだからこそ出来る広告」というものの出現が、非常に期待されるところだ。
今回の資生堂だけでなく、過去の様々なCMを見るたびに、少年時代、学生時代の過去の思い出とクロスオーバーしたりする。そうした「心に残る」CMの再出現を期待したいところだ。