今日は、とある漢字に注目してみたい。
クイズではないが、「斤」という漢字2つと「貝」という感じで成り立つ漢字は?
答えは、「質」。
「質問」「品質」の「質」だ。
この漢字の成り立ちを考えてみる。
まず、「斤」という字。こちらは、めかたを表現している。昔の尺貫法での量を表す単位でもある。現代では、食パンの数を表す単位として使っている。ちなみに、食パン1斤は、340グラムと決まっているらしい。昔の度量衡の1斤=600グラムとは、また違う。
一方の、「貝」という字。こちらは、貨幣を表現している。昔に、貝殻を貨幣としていた名残だ。
さて、この貨幣を表す「貝」という字に、「めかた」を表す2つの字。
一つの貝殻に対して、「めかた」と「めかた」をぶつけ合う。つまり、それぞれが思う「価値」をぶつけ合うというイメージだ。
こうして「質」という字が成り立っているのだ。「質疑」「質問」という言葉も、そうした背景をイメージするとわかりやすい。
また「品質」という言葉も、人が評価した「価値」の上に成り立っているということがイメージできる。
つまり、「品質」というものは、見る人、受け取る側の感覚で、高くもなり低くもなるということだ。つまり、移ろいやすい顧客の感覚を、常に把握しておかなければならないということでもある。昨日の満足は、今日の当たり前になり、そして不満足になってしまう場合もあるかもしれない。
ここ数日、世界を賑わしているトヨタ車のリコール問題。
特にプリウスのブレーキ問題に関しては、「数値」としての技術的な品質は、問題はないのだろう。しかし、「顧客の視点」での感覚的な品質としては、問題があったのだろう。
人が捉える「価値」とは、無形のものだ。この無形のものを数値化して評価することは、なかなか難しいものだ。