2010年6月21日月曜日

交通広告も測定可能な時代に。。。

都内で新しい広告実験が始まったそうだ。

最近、徐々に増えてきているデジタルサイネージ、所謂、映像表示型電子看板。
これをベースに、「顔認識システム」を搭載し、広告を表示したモニターを見た人の性別、年齢層などを測定するというものだ。


広告見た人の性別、年齢測定「電子看板」都内で実験(asahi.com)


記事によると、性別や年齢層を判断する測定精度は約70%。
得られたデータから、どのような内容が注目されるか分析をするのだという。

さて、個人的に疑問が。。。

まず、こうした広告に対して、どれほどの人間が「足を止めて、見入る」のかということ。
大きなターミナルでの、「待ち合わせ場所」付近でのデジタルサイネージは、その見た人の注目してみたかどうかというのは、分かりやすい。

しかし、コンコース上など、移動しながら広告を見る人を、どこまで測定できるのか、この仕組みに対して非常に興味がある。

細かい話になるが、本格的に分析するならば、人の歩くスピード、動線、広告を見る人の視力といったものから、視野角、注視率といった専門的なデータを分析して、初めて精度の高い分析ができるのではないだろうか。

従来のビルボード広告に比べて、デジタルサイネージでは、動画映像を配信することが出来る。動画を利用することで、伝えられる情報量、表現力も、格段に増加する。
更に、クリエイティヴ表現においては、「時間軸」の概念も考えなければならない。

常に動いている映像では、その一瞬の映像が、歩いている人の視線の中に入り、注意を惹かせるためには、どのような表現が効果的なのかというものも考えなければならない。

ここ最近、ハードの技術が進歩し、各所にデジタルサイネージを目にすることが増え始めた。しかし、そこで表示される内容は、テレビCMの使いまわしなどのものが多く目にする。

媒体の特性を考えると、表現は異なるはずだ。

音声が無い状況での映像表現はどうすべきか。
モニターとの距離や視力を考慮し、文字などの大きさはどうすべきか。
見るタイミングなどを考慮し、映像を表現するスピード、尺はどうすべきか。  

などなど、ポイントはいくらでもある。。


「本質的」な費用対効果を考えるのならば、情報伝達するデバイスや媒体特性を十分に検討し、情報の受け手の立場に立ったクリエイティヴを考えなければならない。



日常、様々な広告を見るが、総じて、その媒体特性を十分に考えられたクリエイティヴが少ないことに、非常に気になる。特に欧米に比べると、その差が顕著だ。多くの場合、情報の詰め込み過ぎたものが典型的だ。

さて、このような測定できる媒体が増えることにより、広告主としては費用対効果をより具体的に分析することが出来る。その際に、考えとして抜け落ちやすいのが、「媒体特性を十分に活かしたクリエイティヴ表現が行えているかどうか」ということ。

そもそも、媒体の特性を上手くつかめていなければ、効果が見込めないのは当たり前。

あれも、これも情報を伝えたい気持ちを抑え、伝えたい相手に、適切な情報量を適切なタイミングで提供してこそ、その情報伝達の効果は最大限に発揮されるのだと、私は思う。