2009年10月14日水曜日

ポイントカードから、顧客の動きを読み取る

今日、あるテレビ番組で「コンビニ弁当、値下げ競争の舞台裏」というテーマで放映していた。
私自身、もともと同業界に身を置いていたこともあり、最近の動向にも興味もあり視聴してみたのである。

90年代に私が身を置いていた時代とは異なり、現在の未曾有の不況のなかで業界自身の経験したことのない苦境に面している中での、様々な取り組みの紹介をしていた。

特に顕著に問題になっているのが、お弁当や総菜の売り上げの落ち込みがひどいらしい。
雑誌、飲料水などと一緒に購入する、この主力ジャンルの落ち込みは、お店自身はもちろんのこと、チェーン全体の売上も大きく左右する。


従来のコンビニのコンセプトである「便利さ」が変わってきている。社会環境の変化、法制度の変化によるスーパーやドラッグストアとの差別化も薄くなっているのである。更に不況が追い打ちをかける形で、消費者自身が「安さ」重視の傾向が顕著になっており、「安さ」を訴求してこなかったコンビニは痛手となっている。


この番組で印象に残ったのが、ローソンのポイントカード戦略の話である。


POSデータの分析を、小売業でいち早く取り入れてきたのが、コンビニ業界である。どういう商品がいつ売れたかというのはもちろんのこと、「どういった客層が」にあたるデータについては、年齢層と性別と組み合わせた形で、データ分析を行ってきた。

しかし、現場にいた私が非常に感じていたことでもあるが、この「どういった客層が」という部分のデータのインプットが、非常に「主観的」なものになってしまっていたのだ。

この年齢と性別のデータは、レジ清算時に、キャッシャーと呼ばれるレジ担当者が清算ボタンと一緒に押すことによって、インプットされる。
このボタン操作は、レジ担当者自身の主観によるものになってしまうので、「老けて見える人」「若く見える人」などの見かけによるデータのブレも存在する。更に、来店ピークで、一人でも多くのお客様の生産を処理しなければならないという焦りから、押し間違いなどがあるのも事実だ。


こうしたデータの「曖昧性」が存在してしまうということで、より精度の高い情報の収集するために、クリスマスケーキや年賀状、おせち料理などの催事の予約商品で、近隣客の精度の高い定量情報を集めるのである。

さて、ローソンが導入している「ポイントカード」。

これは、カードを申し込む際に、かなり細かい個人情報を登録する必要がある。

この登録された情報を活用することで、以前より増して、より具体的な「顧客層」を捉えたかたちでのデータ分析が行えるというのだ。

事実、番組でも紹介されていたが、実際の購入している顧客が、「どういう顧客層で、どこから来て、どの商品を購入しているのか」を、より具体的に分析することにより、欠品気味であった取扱商品の発注量を仮説を立てて増やすことで、売上を上げることができたと紹介されていた。


データ分析を行う際、結果データばかりを見てしまう場合が多々あるが、そもそも、そのデータがどのような環境で、どのように収集されたかという前提条件を、今一度チェックすることも、日頃の業務の中で忘れてはならないことの一つだ。データの精度である。

更に、もうひとつ。データで見えるのは、あくまでも、「過去のその時の結果」であり、そこからそのままでは何も生まれない。

上述のデータ分析で判明したことは、あくまでも「顧客層」が「何を購買した」ということだけである。「どうして」という部分は、そのデータから読み取り「仮説」を導いて、一度検証してみなければ、明らかになってはこない。つまり、「仮説」「実施」「検証」のサイクルが大切なのだ。