2009年10月28日水曜日

マス・コラボレーション型ビジネス創出に向けて

2年に一度開催される東京モーターショー。今年は第41回として、10月23日から11月4日まで開催されている。

残念ながら、時間が無く、まだ行っていない。
今年の東京モーターショーは、出展者が激減しており、イベントの雰囲気も、かなり違うらしい。

こうした中で、本日のNHK「クローズアップ現代」で、激変する自動車業界を特集していた。

自動車業界に就業する人は、日本の就業人口の8%なんだとか。

まず、この数字を聞いて、日本の就業構造が一つの業界にかなり偏っているのだと、非常に驚いたものだ。更に、戦後の日本の高度経済成長を支えてきた一つの製造業としての大黒柱だったんだろうなとも、思ったりしたのだった。

その自動車業界が、昨今の若者の自動車離れ、ガソリン自動車から電気自動車への電子化の流れ、そして、昨年の金融ショックと、今、激変にさらされているのだ。

この自動車業界の構造は、メーカーを頂点に、大手部品メーカー、下請け企業というピラミッド構造になっており、この下請け企業の倒産件数が、昨年対比で激増しているらしい。

番組では、こうした激変する業界のなかで、下請け企業が生き残るための「脱 下請け」への取り組みを紹介していた。

ある中小企業は、自社の強みを徹底的に追及し、そこに集中して異業態の楽器製造への参入。

また、別の中小企業は、今まで別々のジャンルの部品メーカーであった企業が、それぞれの得意分野を持ち寄り、チームとしてタッグを組んで、別業界の大手企業への営業活動を行うという取り組み。

このチームを組んでの取り組みは、過去に蓄積した自社のノウハウ、様々な技術をお互いに完全にオープンにして、どうタッグを組めば、Win-Winの関係で大手に売り込んでいけるのかを、徹底的に行うのだという。従来の中小企業であれば、こうしたノウハウの開示というものは、まったく考えられなかったところを、あえて生き残るために、発想を転換して実践しているのだという。

ノウハウというのは、そもそも特にモノづくりにおいては、門外不出。秘伝として職人から職人へ伝授されるものだろう。しかし、時代は変わり、アナログからデジタルへ。ちょっとした「技」というものは、簡単に模倣され、その情報も伝わってしまうような時代になってしまった。
インターネットがそうしたことを後押ししていることは、否めない。

こういう時代においては、逆の発想で、それぞれ持ち合わせたノウハウを、コラボレーションという形で、お互い出し合い、新たな物を「創出」するということも、生き残っていくための策の一つだと言えよう。

また、こうしたコラボレーションは、インターネット上で先行して実践されている。サーバOSのLinuxの開発に代表されるように、各種オープンソースの技術開発などにもそれが表れている。

ところで、一昨年前ぐらいに、「ウィキノミクス」という言葉が流行した。インターネットの百科事典「WikiPedia」に代表されるウィキソフトウェアの「ウィキ」と経済の「エコノミクス」が組み合わさった造語だ。





この「ウィキノミクス」は、アンソニー・D・ウィリアムズ氏によって同名著書(写真の左側が和書、右側が原著)が発売されているが、本書では、上述のようなウィキを初めとするツールをベースにしたコラボレーションの環境が今後発展し、従来の企業組織やコミュニケーションスタイル、経営戦略やワーキングスタイルを大きく変るのだと、記している。

更に、本書では次世代ジャンボ機の開発やヒトゲノムの研究、P&GやBMWなど、地球規模のマスコラボレーションの事例を紹介している。

今日、この番組を見ながら、こうした自社のノウハウやナレッジを、お互いに出し合いながらコラボレーションしていくというのは、今後の新しいビジネスのパラダイムシフトに繋がっていくのではと、より一層感じたのだった。

是非とも、この不況を脱出するためにも、こうした今まで培われた無形資産を、次の時代に有効活用していきたいものだ。