2009年10月30日金曜日

護衛艦衝突事故に見る、現場コミュニケーション

10月27日の夜、山口県下関市と福岡県北九州市の間にある、関門海峡で海上自衛隊護衛艦「くらま」と韓国籍の貨物船が衝突した。

あの平家一門が滅亡した壇の浦の戦いでも有名な関門海峡。
私自身、亡き祖父の家からも近く、幼いころにも何度か訪れた思い出のある所でもある。
この海峡は、対岸が非常に目の前まで迫り、非常に狭い。
船舶の航行上でも、非常に世界的にも難所でもあるらしい。


さて、今回の事故であるが、韓国籍の貨物船が、前方の別の貨物船を追い越そうとして、舵を切りすぎ、対岸から接近する護衛艦と衝突したらしい。

今回の衝突の原因究明は、現在行われているようだが。。
  • A) そもそも、航行するには難関の狭い海峡であるという事実
  • B) 海上管制から、後方から迫る韓国籍貨物船に護衛艦を注意しながら前方の貨物船を追い越すよう「情報提供」 (航空管制とは、権限が違うらしく、海上管制の指示権限はないらしい)
  • C) 後方の韓国籍貨物船は、海上管制の「情報提供」に従って、追い越そうとする。だが、左へ舵を切りすぎてしまった様子。
  • D) この海上管制の韓国籍貨物船とのやりとりは、護衛艦には伝えておらず
このような所に、ここ数日の報道によると問題があるのではと指摘されている。


これを、私、「情報の目利き」流の言葉で整理してみると
  1. A)の難所であるという事前情報(=先行情報、ノウハウ)は、各船舶の舵を取っている人間、管制の人間は意識記していたのか。「慣れ」が出てしまって忘れていなかったか。
  2. B)C)は、海上保安庁としての海上管制は、あくまでも「情報提供」というスタンス。しかし、現場の韓国籍の貨物船側はどう認識していたのかという、役割分担の問題。それぞれの立場の認識を誤れば、情報の解釈も微妙に変わってしまうものだ。
  3. D)は、前方から接近する護衛艦との、今現状で起きている「情報共有」
となるのだろう。


要するに、「事前情報」「役割分担」「情報共有」これらを総合したコミュニケーションに問題があったのではと想像できる。また、「慣れ」「勝手な解釈」というのもあったのかもしれない。

こうした「ミスコミュニケーション」は、一般の業務オペレーションでも発生し得る問題だ。

「誰かに頼る」「機械任せにする」「それらの勝手な思い込み」こうしたことの積み重ねが事故に繋がってしまうのだ。

事故は事故で、今後、調査委員会が究明して行くと思われるが、実際の我々のビジネスでも、こうした視点は忘れないようにしたいものだ。