2009年10月8日木曜日

チャップリンのDVD、消える。。。

本日、最高裁でとある判決が下された。
内容は、格安DVDの販売をめぐって、著作権の保護期間が継続しているかが争われたものだ。


具体的には、かの有名な喜劇王「チャップリン」の9作品「独裁者」「モダン・タイムス」「街の灯」などの映画の著作権の保護期間が争われていた。今日の結論は、著作権の保護期間は継続しており、DVD制作会社の上告を棄却したということだ。判決理由は、「旧著作権法上、映画の著作者は、全体的な映画作りに創作的に寄与したのは誰かを基準に判断すべき」ということで、旧著作権法にのっとり、著作者が個人の場合は死後38年まで保護が認められるということだ。

私自身、映画は好きであるし、安価にDVDを購入できることは非常に喜ばしいが、一方でこうした著作物に対しても、きちんと守ってほしいという思いもある。


欧米と比較して、日本企業や日本の消費者は著作物というものに対して、非常に軽んじているのではというのが、長年、制作やシステム開発に近い仕事をしていて感じているところだ。これは、著作物を作る側、受け取る発注側両方に対して言えることだ。


受け取る側は、どういうものが著作権が発生するのか、また、制作する側は何をもって著作権を主張できるのか、、もう少し、日頃から興味を持っても良いものではないかとも感じている。


ここで、豆知識として押さえておくと、著作権が法律で対象とされるのは、簡単にまとめると、以下の条件を満たさなければならない。



(1). 思想、または感情をあらわしていること
(2). 創作的であること
(3). 表現した物であること
(4). 文芸、学術、美術、又は音楽の範囲に属するものであること



まぁ、ここで法律の話になり硬い内容にはしたくないので、このへんに留めておきたいが、要は、人が、新たに創造したもの、創作したもの、発想したもの、表現したものに対して、もっと敬意を払うべきなのではないか、ということを提言したい。


実は、本日上記の判決以外にも、同じようなジャンルで、ファイル交換ソフトが著作権侵害行為にあたるかどうかということの判決も出ていた。
こちらは、このファイル交換ソフトの開発者が著作権侵害ほう助罪に問われる範囲は限定的ということで、著作権侵害行為には当たらないとの判決が出されたのだ。


DVDしかりファイル交換ソフトしかり、技術の進歩によって各種データをいとも簡単に複製できる時代になった。今後も、更に技術は進化し、いまでは想像できないような技術も市場に出てくるだろう。


そうした時代だからこそ、こうした創作や発見をする行為や実現したその人に対する敬意を払うことが重要だと私は思う。
そうした文化や思想が無い限り、新たな素晴らしい発想や表現、革新的な考えや理論というものは生まれてこないだろう。


こうした文化財ともいうべきものに対して、「格安」での大量販売は、消費者としては嬉しいことだが、「文化を大切にする」「無形資産を大切にする」という視点を醸成するということも、売る側も買う側も共に忘れないでほしいとつくづく感じた。