それは、「FREE」。
仕事の打ち合わせで出てきただけでなく、週刊ダイヤモンドのタイトル、今日のNHKクローズアップ現代でもこの「FREE」が特集として取り上げられていた。
さて、この「FREE」、所謂、「無料」のことだ。
各種クーポンや、フリーペーパーなど様々な業界でこの「無料」サービスというものが増えてきているのだ。
特に、NHKの番組では面白い実験を紹介していた。
それは、行動経済学の著書で有名な、ダン・アリエリー教授の実験。
それは、こんなものである。
とあるテーブルに、普通のチョコレートと、ブランド物のチョコレートがある。
普通のチョコレートは一つ2円。ブランド物のチョコレートは27円。この二つのチョコレートのどちらかを選んでくれというお題に対して、ほとんどの人がブランド物のチョコレートを選ぶのだという。
これを価格差は同じくして、普通のチョコレートを1円。ブランド物のチョコレートを26円としても結果は同じ。
ところが、普通のチョコレートを0円、つまり「無料」にすると、ほとんどの人が、この普通のチョコレートを選んだ
…といったもの。
「無料」というものには、今までの経済原理では、単なる「0円」としか受け取られていなかったが、最近の解釈では、それ以外の「価値的な意味がある」ということが学術的に研究されているそうだ。
ところで、この「無料」サービスを後押ししているのが、IT系のビジネス。
IT化することにより、様々なことが効率化され経費削減できることから、それらを加速させている。
具体的にも、Googleの各種サービス、無料インターネット通話のSkype、ウィキペディア等など、様々なものがあげられる。
さて、ここで気になるのが、こうしたサービスと同じカテゴリの既存からあるビジネス。こうしたサービスが出現すると、どうしても「無料」というものに対して、既存ビジネスが真正面からぶつかる格好になる。
私自身、非常に気にしているところが、サービスの内容(=質)をきちんと理解をしたうえで評価しているのかどうかというところだ。恐らく、ほとんどの人が、単に「無料」だけで判断しているのだろうと、先のアリエリー教授の実験からも読み取れる。
GoogleやSkypeなどは、表向きは「無料」にしても、きちんとビジネスとして成り立つものを構築している。こうしたものを構築していないと、自らのビジネスの命を絶ってしまわざるを得なく成りかねない。
この「FREE」という言葉。
映画「バック・トゥ・ザ・フューチャー」のワンシーンで、主役のマーティンが、タイムマシンで30年昔にタイムスリップ。
とあるカフェでノンシュガーのコーヒーを注文する際に、「コーヒー フリーで」とのオーダー。注文を受けた店の主人が「うちには、タダのものなんて無い!」とムカっとするシーンがあったことを思い出す。
店のマスターではないが、今の世の中、「タダ」のものが徐々に増えているのもの事実。
今、この時点では、言葉としてはバズワードとしての感が否めないものの、無謀な価格競争を拍車させるような使い方だけは、避けてもらいたいというのが、本音のところだ。