2010年4月19日月曜日

「Can you follow through ?」

「Can you follow through ?」

さて、この英語。ここ数日のニュースを賑わした言葉。

鳩山首相と米国オバマ大統領との先日の非公式会談での会話。オバマ大統領が沖縄の米軍普天間飛行場の移設問題に触れての言葉だ。

さて、この言葉、多くの新聞報道では、「最後までやり通せるのか」「きちんと責任を取れるのか」という翻訳での報道の仕方をしている。

まずは、「follow through」という言葉。
久々に、辞書を開いて確認してみたが、「「…を最後まで遂行する」という意味だ。

そして、一方の「Can you」という言葉。

「Can you~」は、中学でも習ったように、「…できるか?」という意味と、「…してもらえますか?」という意味がある。


特に、フランクにお願いする場合は、「Can you~」という表現を良く使うものだ。
お願いする場合は、この他にも、「Could you~」や「Would you~」「May I have~」等があるが、ある意味、格式ばって改まった表現になるが、丁寧の度合いは増す。

さて、今回は、「Could you~」ではないものの、「Can you~」は、少なくとも「~お願いします」というのが正しい表現かなと感じた。

「あなたは~できるのか?」という直訳は、公式の場で、更に一国の大統領の発言する言葉という場面からしても、少なからず「誤訳」のような気がするのは、私だけだろうか?適切な日本語訳としては、「きちんと努力を続けてもらえますか?」というニュアンスなのではないだろうか。流石に、いくつかの報道機関は、直訳を避けてるところもあるようだ。


さて、翻訳での問題として、昨日の夜のフジテレビの情報番組「Mr.サンデー」という番組で、朝青龍のモンゴルでの記者会見の模様の報道も指摘していた。

例の朝青龍の引退のモンゴルでの会見。そもそもモンゴル語でのみ会見をすることを前提としていて、どうしてもということで日本人記者参加OKになったとのことだ。従って、そもそも日本語通訳も急遽手配されたらしく、例の会見の翻訳もかなり誤訳や省略があったようだ。
番組で、当時の記者会見を、2名のモンゴル語通訳を通して検証を行ったところ、相撲協会への批判と言われている部分については、かなりの意味の取り違いがあることが分かったようだ。


さて「翻訳業」というのは、非常にスキルの求められる仕事だ。
それは、それぞれの文化背景、その場の文脈、その人の特徴等によっても、母国語自身の表現も変わってくるからだ。それらをきちんと読み取り、伝達しなければならない。

コミュニケーションを行う際、「言葉」というものは、非常に重要な伝達手段である。
日本語でさえ、上手く情報伝達が行うのはそもそも難しい。
更に、多言語間での情報伝達は、難しくなるのだ。

今回のような内容は、よりセンシティヴな内容であるだけに、翻訳する際は一層の配慮がいるのではないだろうかと私は思う。