2010年5月3日月曜日

「すぐやる」行政サービス

とある地方行政でユニークなサービスを実行している所がある。
その名も、「すぐやる課」。

直近の事例では、葛飾区の取り組み。

葛飾区「すぐやる担当課」

この葛飾区の「すぐやる担当課」は今年の4月に新設されたもの。
この行政サービスは、葛飾区青木区長が掲げる「区役所改革」の一環。
行政サービスを効率化させ、サービス対応のスピードアップを図るとともに、区民から情報を寄せてもらうことにより、行政側の業務も効率化することを狙ったもの。

開設後、区民からの相談が殺到して大活躍なのだとか。

具体的には、柴又の観光地付近の売店からハチの巣の撤去の依頼があったり、交通の障害になる放置ダンプカーの移動の要請など様々。


この「すぐやる」という行政サービスは、先行して世田谷区等でも実施されているが、遡るところ、千葉県の松戸市で1969年に行われたのが最初である。
ちなみに、当時の市長は、あのドラッグストア「マツモトキヨシ」の創業者、松本清氏が在任中に実施したのだ。この行政サービスは、「市民に役立つ所、市民にとって役に立つ人がいる所」をモットーに、日本初の即応部門を設置したのだ。

海外でも、同様のコンセプトで、カリフォルニア州でTwitterを活用して、市民からの相談を受け付けるなどのユニークな取り組みも始まっている。

さて、この「すぐやる」行政サービスを、情報マネジメントの視点で見て見ると、如何に現場から情報が「集まる」仕組みが構築できると、効率化に繋がるということ。

企業においても、現場の情報を集めるというのは、中々難しい。
まして、「わざわざ情報を集める」ことを行うのには、費用も時間もかかる。

一番効率のよい方法は、現場から自然に「集まる」仕組みを構築すること。

企業にとっても、お客様からの情報が集まる仕組みを構築することはもちろん、現場の第一線で活躍する営業部門、サービス部門、ライン部門等から、会社に情報が集まる仕組みが必要だ。決して、「集める」仕組みであってはならない。


「業務命令による情報収集」「義務的な情報の提出」を強制すると、そこに集まる情報は、一部の恣意的に集められたものになってしまう恐れがあるのだ。
「会社を良くしたい」「会社のためにも、自分のためにも情報を会社に蓄積させよう」という機運、風土、そして、評価制度の確立が必要である。

特に、会社にとって積極的に集めるべきものは、失敗情報・苦情情報やそれに繋がりそうなヒアリハット、小さな火種情報など。

こうしたものは、上述の会社自身の環境、風土により、覆い隠されてしまう。
そして、放置されることにより、重大な事故、更には会社の存続に関わる事態を招くことにもなりうるのだ。


ビジネスにおける情報が「集まる」仕組み。
人の意識、会社の環境、ツールなどの工夫、それぞれを上手く活用して体制を構築したいものだ。