2010年5月6日木曜日

上海万博から、日本が学ぶべきこと。

中国で開催されている上海万博。
5月1日の開会から1週間が経とうとしている。

開会当初のオペレーションの混乱はあったものの、順調に滑り出しているらしい。

さて、今回、日本からは、「日本館」「日本産業館」「大阪館」が出展している。

この中の、「日本産業館」について、昨日BSフジ「プライムニュース」にて堺屋太一氏がゲストとして出演し、紹介をしていた。


日本産業館公式WEBサイト


日本産業館の出展テーマは、「日本の創るよい暮らし /Better life from JAPAN」。
先端技術だけでなく、「人々の暮らしを豊かにするためのソフトウェア」の提案なのだとか。

そして、興味を持ったのが、展示・運営コンセプト。
それは、「きれイ、かわいイ、きもちいイ」というもの。(これを「J感覚」というのだとか)。

「綺麗」「可愛い」「気持ち良い」というのは、既に世界語にもなっているらしく、国境を超え、世界の人たちにも広まっている言葉。

この言葉の概念を、日本の文化様式とともに、世界の人にアピールするのだとか。

確かに、「綺麗」「可愛い」というのは、日本のPOPカルチャーを代表として世界に広まっているのも事実。日本の「おもてなし」サービスも、受ける側として「気持ち良い」ものとして評価されている。


パビリオンでは、たこやきから抹茶味・醤油味のアイスクリームの販売といったものから、旬の食材を活かした本格的な懐石料理を高級料亭まで、幅広い「食」文化の紹介もされている。

また、世界一と称される日本の最新トイレも紹介。
日本の文化的背景から技術的知識まできちんと教育された「トイレ博士」なるガイドを採用し、紹介するという力の入れよう。


さて、そんな堺屋太一氏によるパビリオンの紹介とともに、日本と海外のパビリオンの違いにも触れていた。

それは、「パビリオンの作り方」の違い。
先進国、特に欧米各国などは「映像表現」「演出」などへのこだわりがあるのに対して、日本は、「商品そのもの」へのこだわりをしているとのこと。


堺屋氏が懸念しているのは、欧米先進国がこうした「知識ベース」の工程を重視する一方、新興国が、「モノ作りベース」の工程を重視し始めてきているという点。中国や東南アジア諸国自身が、「モノを作る」ということの技術を高めてきていることの表れでもある。堺屋氏は、「ものづくり」から「知恵づくり」への転換をしなければならないと提言。

さらに、その原因は現在の官僚制度にあるとも指摘。

私個人としては、確かに官僚的発想の風土もあるかもしれないが、「見えないもの」に対する評価、対価の考え方が、未熟ではないかと思われる。
日本のアーティストや、科学者が日本で評価されず、海外で評価され、初めて日本でも追随して評価されるという点に顕著にあらわれているのではないだろうか。


事実、IT、プロモーションの仕事していても、同様に、「企画」「デザイン」「設計」「マーケティング」というものに対しての「無形」の「資産」に対しての対価は、中々認める企業は希少であると感じている。

「意匠」や「特許」なども同様だ。

小売・流通における「サービス」についても、チップ制度のある国々と比較してもわかるように、日本では「サービス=無料」という感覚が染みついてしまっている。

「無形」の資産に対する評価。
そろそろ、日本も真剣に考えなければならいのではということのようだ。