2010年6月14日月曜日

「はやぶさ帰還」に見る、メディアの使い方とは。

世の中がワールドカップで賑わっている中、日本の小惑星探査機「はやぶさ」が地球に帰還。地球を出発しての7年ぶりの帰還。

「はやぶさ」は、2005年に地球から3億キロ離れた小惑星「イトカワ」に着陸を果たして、そこで採取した「砂」を持ち帰っているのだという。幾多のトラブルにも見舞われながらの帰還だ。


さて、この「はやぶさ」の地球への帰還に関して、インターネット上で話題になっていることがある。それは、「はやぶさの地球帰還についてTV中継が無い」ということだ。


結局、テレビ各局によるによる生中継はなく、インターネット上のUstreamやTwitterなどでリアルタイムで伝えられた。

ちょうど、地球への帰還時間がワールドカップの試合にも重なっていたためか、テレビ放送では生中継はされなかったのだ。その他にも、諸事情はあっただろう。


Twitter上のNHKの広報アカウントは、どうやら対処できなくなったのか一時的にストップ。NHK朝のニュース「おはよう日本」のアカウントで、取り上げるアナウンスといった感じだ。


さて、今回の「帰還」について、インターネット上で直前になり話題になっている状況に、いささか私は冷めて見ている。

「はやぶさ」の小惑星探査という偉業に対しては、これに携わった方々に非常に敬服している。

しかし、こうした偉業を紹介している東京大手町にあるJAXAの広報スペースが、先日の事業仕分けでは「廃止」とされていた。その時の反応と、昨夜から今日にかけてのネット上の反応にギャップを感じている。

私は、過去、何度かJAXAの広報スペースに足を運んだことがある。様々な取り組みを分かりやすく紹介していた。確かに、広報そのもののやり方が悪いのか、訪れる人は疎らだったことを覚えている。これほど、インターネット上で盛り上がるのであれば、もっと来訪する人がいても良いのではというのが正直な感想だ。


インターネットというツールが世に普及し、情報を容易に受発信出来るようになった。

一方、従来のテレビ放送は、許認可を受けた一部の団体が、専門的な技術を介して広く情報発信する仕組みである。更に民放各社は、広告主であるスポンサーにより成り立っている。

私個人としては、そもそも、テレビとインターネットは、全く違う特徴を持ったメディアだと考えており、使う側も、それを意識して使うべきだと考えている。

テレビ放送はインターネットに迎合すべきではないし、情報を取り扱う専門家集団としての「質」を追求してもらいたい。


一方のインターネットは、ソーシャルな草の根的な要素を持つメディアでもあり、テレビでは出来ない特徴も多々ある。そうした特徴こそ活かすべきだろう。


ところで、アメリカの放送局は、日本よりも積極的に、「テレビ」というメディアと、「インターネット」というメディアを、それぞれの特徴を活かしながら使用しているようだ。これらの違いは、日米の法制度の違いに起因するものもあるようである。


情報発信者側のメディアの使い方、情報受信者側のメディアの接し方、それぞれが、次の時代への変革の時期に、今ちょうど、差し掛かってきているのだろう。