2010年6月15日火曜日

違法投稿事件にみる、ITリテラシー教育

ワールドカップの話題でもちきりの中、昨日から今日にかけて、こんなニュースが流れていた。


ユーチューブに「ナルト」など違法投稿容疑 中3を逮捕(asahi.com)


中3、ユーチューブに「銀魂」など違法投稿容疑(YOMIURI ONLINE)


名古屋市に住む中学3年生の少年が、動画投稿サイトのYouTubeに、発売前のマンガを無断で公開したというもの。

このニュースを聞いて、「起こるべくして、起きたな」という感じだ。


この事件のポイントは、2つ。

  • 発売前のマンガを入手していること。
  • 無断で、投稿サイトに投稿したこと。

発売前のマンガを入手していることは、捜査で明らかになるかと思われるが、投稿サイトに投稿したことは、これは、「誰にでもやり得る」話だ。


今回の事件は、著作権を侵害し悪質性が高いということで逮捕に踏み切ったそうだ。


さて、この中学生、「著作権」という言葉を知っていたのだろうか?

自分自身が中学生だったころを振り返ると、「コピー機」なるものは珍しい存在。
コンビニも、街にちらほらと出現しだした時代で、コピーなどしようと思うならば、図書館まで足を運ばなければならない大変な時代だった。

「複製」という意味では、「カセットレコーダー」で、レコード、テレビやラジオの「音声」を録音したりしていたことを覚えている。
あくまでも、「機械いじり」と「複製したものを自分自身で楽しむ」ことが目的で楽しんでいた。

恐らく、この中学生も、「パソコンをいじって」、「公開して楽しむ」ことをしていたのだろう。

ここで、昔と大きく異なるのが、「世間一般に公開出来る」ツールを身近に手にしていること。

コミュニケーションの対象範囲も、昔ならば家族や友人が一般的。私自身、最大でも、中学時代にイギリス人の同じ中学生との文通などがある程度だ。今のような電子メールでは無いから、時間もお金もかかる。

しかし、今では、インターネットを介して、非常に多くの人と、手軽にコミュニケーションが行える。一度も会ったことなく、本名を知らない人とでさえ、コミュニケーションがとれるのだ。


さて、今回の事件は、周囲の大人が、もっと配慮すべきだったのではないだろうか。

中学生という好奇心が旺盛な時期に、パソコンが好きな子であれば、とことん新しいソフトウェアを駆使しながら、いろんなことを「試してみる」のは、当然あり得る。


今の子供たちは、過去に比べて、様々な情報にも接することができる一方、情報を発信することも可能だ。

最近では、「学校裏サイト」なるものも存在し、「今時のいじめ」も存在しているらしい。コミュニケーションスキルが不十分な時期に、ツールを手にしてしまうと、不適切な使い方をしてしまうのは、避けられない。


我々大人は、如何にこうした「新しいコミュニケーションツール」を、子供たちに使わせるか、もっと真剣に考えるべきなのだろう。