2010年6月3日木曜日

「DPI」広告の是非。。

DPIという言葉をご存じだろうか。

ディープ・パケット・インスペクションの略であるが、これは、インターネット上でユーザーの行動記録をプロバイダーがすべて読み取る技術のことだ。

この技術を使って、そのデータをベースに広告配信に使おうという動きが現在あるのだ。
インターネットでどのようなサイトを閲覧したのか、すべてプロバイダーで記録されるこの技術の利用に対して、先日、総務省が容認をしたとの報道。

「ネット全履歴もとに広告」総務省容認 課題は流出対策


さて、このニュースを聞いて驚いていたところ、

DPI広告の容認「結論出したわけでない」 原口総務相


との本日の報道。

欧米でもまだ、この取り組みに対して否定的なところにこのようなニュースが報道されて、あわてて火消しをしたのであろうか。。


インターネットだけでなく、日常生活において、我々の行動の履歴は、様々な形で情報として蓄積されている。

スーパーでの買い物も、POSデータと会員カードで紐づけされて管理されている。
首都圏のJRで利用されているSuicaや私鉄のPasmo、マイレージカードやポイントカードなど、多くの行動データが蓄積されている。

こうした情報は、企業にとってマーケティング分析を行う上で非常に貴重なデータである一方、扱い方を間違えると、とても甚大な事故や事件にも繋がる。


消費者の行動履歴データである、この「ライフログ」。
特に取り扱う際に気をつけなければならないのが、まず、個人を特定する情報を取得するのかしないのか。

一つのデータ単体としては個人を特定できなくても、組み合わせることで個人を特定できる場合は、要注意。

そして、個人情報として収集する際には、情報提供者に対しての事前の目的の開示と同意が必要になる。

また、情報を取り扱う企業側で、事件や事故が起きるのは、ほとんど「人」に起因することが多い。そして、悪意のある人間による事件が多数発生しているのも実情だ。


さて、今回の総務省の取り組み。

プロバイダーという立場は、技術的には、どのような情報でも見ようと思えば見れる立場。
パブリックなインフラである立場の存在で、このような個人のライフログを収集して何かを行おうとする取り組みは、非常に様々な意味でリスクを高めることになりかねない。

かつては、性善説に則った思想での仕組みの構築でも問題も無い古き良き時代もあったかもしれないが、今はそうは言ってられない。

様々な観点からのリスクを、じっくりと考えてもらいたいものだ。