2010年8月9日月曜日

価値ある文化遺産を後世に。。。

都会の通りを歩いていると、時々、古いがモダンな建物というものに目にすることがある。

丸いアーチ状の窓枠や、装飾が細かく施された外装のもの、石造りの外壁など、現在の合理化された近代建築では、中々見ることができない重厚な作りの建物などが、たまに見ることができるのだ。


そんな中で、今日、こんな記事を発見。

戦災逃れたモダンな「復興小」解体か保存か 東京・中央 (asahi.com)


東京のど真ん中にある、中央区立明石小学校の校舎の建て替え問題。
この明石小学校は、関東大震災直後に建築された「復興小学校」と呼ばれる学校の一つ。
1920年代に建てられた、建築的にも現存するものが数少なく、非常に珍しく価値のあるものだそうだ。

先日、テレビ番組でも取り上げられていたが、校舎の中の天井も非常に高く、採光も工夫され、丸い柱やアーチ窓、そして階段の踊り場から手洗い場など、各所に曲線を取り入れられた「表現主義」で設計されている。

アメリカ等に訪問した際、こうした「表現主義」の建物を、今でも古いデパートや駅、美術館や博物館、公共施設などで多く見受けられる。

日本では、こうした価値ある建物の多くが、取り壊され、時代の流れに埋もれて消えてしまっている。

これは、日本の街並みを見ていると、欧米の街並みと比べてその違いを感じることが出来る。欧米の街並みは、きちんと計画され、統一感があり、古いものを活かしながら新しい建築を上手く融合させながら、都市づくりが行われている。

フランスのエッフェル塔とルーブル美術館を結ぶ、新旧の建物が上手く融合されているシャンゼリゼ通り等も有名だ。
アメリカでも、かつての高架鉄道のレンガ造りの高架部分を、遊歩道に活用するなどの都市計画が行われている。


一方の日本に目を向けると、スクラップ&ビルドが激しい。
貴重な文化遺産となるはずのものも、どんどん壊される。

良いものを残し、後世に伝えるという考えが無いのだろうか。
今の世相を、非常に顕著に表わしているように思える。


この記事によると、区側の意見としては、リノベーションでは校舎の寿命が問題視されている。
本当にそうなのだろうか。同時期に建築された建物が、他にも多々あるというのに。。。
何か他の理由があるように感じざるを得ない。


もう少しクリエイティヴな発想があれば、こうした文化遺産を活かす方法は、まだまだあるのではないかと思う。