2010年8月31日火曜日

「安全」と「効率」の天秤。。。。

少し古いネタだが、こんなニュースを見つけた。

JR西運転士ら、ATS警報装置にテープ 「音量調整」 (asahi.com)


電車の運行に関して、最近では様々な運行管理システムにより制御されている。
そのうちの一つが、ATSと呼ばれる自動列車停止装置。

列車の衝突防止や速度超過を防止するための安全装置だ。
速度超過した場合に、運転士に警報を与え、更に自動的にブレーキを作動させて停止させたりする。

さて、こうした安全装置なのだが、音量が大きいとのことでスピーカーにテープを張っていたのだという。


安全装置というものは、文字通り、安全に制御することを目的とされ設計された機器。
そのために、様々な安全策を講じるよう設計されている。


しかし、わざわざそうした安全策を取り除いてしまうことを人間は、時々考えてしまう。
その場の、そしてその一時の利便性、快適性を重視するあまり、そういう行動を取ってしまうのだ。


同じ鉄道の例では、「開かずの踏切」でも同じようなことがある。

とある首都圏の鉄道会社で実際にあった話。
毎日の通勤時間帯、列車の過密ダイヤにより、ほぼ1時間近く踏切の遮断機が上がらないという場所があった。横断者の「早く渡りたい」という要望に応えて、踏切の安全装置を切り、遮断機をあげ歩行をさせていたところ、運悪く、列車が通過し人身事故を起こしてしまったというエピソードがある。

横断者のことを思う思いは理解できるが、本来であれば、踏切を横断せずに済む方法を検討すべきところ、安易な方法で安全装置というものを解除する判断をしてしまった残念な事例。


システムにおいても、開発者はセーフティー機能を考えるが、使用者にきちんと伝わっていない場合もたまにある。

危険回避、リスクマネジメントをきちんと実行するのであれば、こうした状況に陥った場合、何を第一に判断基準とするのか、常日頃から組織全体で徹底しておかなければならないものだ。