2010年7月18日日曜日

空間演出も接客のうち。。。

先日、経営不振に陥った旅館やホテルの再生で知られている株式会社星野リゾートが運営する「星のや軽井沢」に宿泊する機会があった。

星のや軽井沢

「星のや軽井沢」は、中軽井沢から浅間山麓のふもと方面に広がる森に囲まれた所にある。広大な敷地の中で、客室はすべて独立した棟となっており、一つの集落を形成。中心には小川が流れ、都会の喧騒を忘れて自然の中で静かに過ごせる感じとなっている。




到着すると、まずはレセプションセンター。ここでチェックイン。
このレセプションセンターは、上述の敷地とは離れたところにある。

エントランスを入ると、旅の疲れを癒すためのインドネシアのガムランのような音楽が聞こえてくる。ここで、お客様を出迎えてくれるのだ。
そして、麹で作られたジュースを、旅の疲れを癒すためにということで差し出される。

ここまで通常あるような、ホテルのチェックインの手続きは一切ない。

そうこうしているうちに、宿泊する部屋へ案内される。各部屋は別棟のため、リゾート内送迎用の車で移動する。レセプションセンターを離れ、いざ森の中の林道へ。数百メートル離れた先に、突如、集落群が現れる。こちらが、「星のや軽井沢」の施設である。

ちなみに、送迎車は日産のキューブ。施設内には十数台あるそうで、後部に「星のや」のロゴエンブレムが取り付けられている。

車一台がぎりぎり通るような道を通り抜けて、たどりついた客室。
「和モダン」な集落の一軒家という感じ。

室内に入ると天井の高さに驚く。
また、各所に日本家屋の建築手法などを取り入れるなどして、その工夫が随所に発見できる。そして、普通のホテルや旅館と大きな違いが、「テレビが無い」こと。

テレビ自身は、宿泊する人を都会の生活に引き戻すアイテムの一つでもあり、谷合の集落としてはふさわしくないということで置かなかったのだそうだ。


さて、このように練りに練り上げられたコンセプトを中心に、徹底した演出が、施設全体のイメージを醸し出している。

こうした演出は、ディズニーランドでも行われている。
「夢と魔法の王国」を演出するために、最寄り駅を降りた瞬間からその演出は始まり、パーク内は、完全に外の空間と遮断されているのだ。


サービスコンセプトをお客様に伝える際には、ヒューマンオペレーションによるサービス提供以外にも、このような環境の演出も重要な役割を果たしている。


コンセプトを軸とした、細部にまでわたる徹底したこだわり。

そのこだわりの積み重ねが、サービスの質にも繋がるのだ。